女性の方が長期投資家向き

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 先週の金曜日に、ある大企業の工場従業員向けに長期投資の考え方の勉強会をやった。 2部構成の後半は、社員の奥さん方が対象だった。 午前中の男性中心のセミナーよりも、はるかに盛り上がった。 

 そして、昨夜は女性オンリーで長期投資の勉強会というか、”長期投資の先に広がる、カッコ好い生き方を考えてみよう” を、ワイン飲みながらワイワイやった。

 どちらも女性の集まりらしく、長期投資を感覚的にとらえて ”それって、いいよね” の軽やかさで、どんどん話が進んでいく。 こちらも、ものごとの本質から離れないようストレ-トに話をする。

 これが男性中心の勉強会だと、どうしても頭で考えがちとなり説明口調で話が進んでいく。 よくいえば論理的で理知的。 だが、実際は頭でっかちで行動が伴わず、といった展開となりがちである。

 この違いが面白い。 たとえば、長期投資の根幹は生活者にとって大事と思える企業を応援することよ、といっても男性と女性とでは反応が全くといっていいほど違う。

 男はすぐ、生活者にとって大事な企業って具体的にはどんな企業なのか、どう選別したら良いのかとくる。 それが女性では、”いなくなったら困る会社ね、ええっと” で、身の回りの企業をあれこれ思い浮かべる。

 どちらの方が、長期投資家としての出番つまり株価暴落時に、その企業を応援しようと実際の買いを入れられるだろうか? 頭で考えた応援したい企業だと、株価暴落にはどんな背景があるのかとか、なにか状況が変わったのではといった詮索ばかりが出てきて、なかなか買えない。

 一方、女性の方は ”あら、この会社こんなにひどく売られているの。 だったら応援しなくっては” で、素直に買いを入れられる。 頭よりも気持ちが先行して行動に移れるわけだ。

 ことほど左様に、女性の場合は ”こういうのが長期投資なんだ” を実感すればするほど、ごく自然体でどんどん本物の長期投資家になっていく。 説明しろといわれても、”こんな感じよ” と、言葉ではなく行動で示してくれる。

 断っておくが、女性は感覚的に過ぎて頭を使わないといっているわけではない。 直感と好きか嫌いかを大事にして、さっさと行動に移る特性が強い人ほど長期投資に向いていると言いたいだけだ。

 それができないと、株価暴落時などにとてもではないが、この企業を応援しなければの買いは入れられない。 長期投資家としての第一歩を踏み出せないのだ。

 もちろん、理知的分析的に企業を応援したいのなら、いくらでもお手伝いしよう。 それには、10年ぐらい先の予想財務諸表を作成するぐらいの力をつけてもらわないと困るがね。

 それは、さわかみ投信のアナリスト達もやっていること。 すなわち、10年先までの貸借対照表や損益計算書、そしてキャッシュフロー表を、いろいろな状況変化に即して7通りとか8通り作成する。 その上で、この株安局面は買っておこうと判断を下すのだ。 機関投資家だったら、そのぐらい深みのある企業リサーチはやって当然である。

 とはいえ、やってみれば判る。 直感を大事にし、応援したい気持ちを高めて長期投資に臨めば、結果として機関投資家のプロとそう大きな違いはないということが。

 したがって、新しい挑戦として女性の本物長期投資家がどんどん増えてもらい、生活者にとって企業を応援する文化を醸成していこうと思う。