消費税8%

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 来年から現行5%の消費税が8%へ引き上げられる。 それで、国の税収は8兆円ほど増加する。 その分だけ、財政赤字の幅が縮まり国の借金依存度も減ることになる。

 ただしだ、消費税が上がれば個人消費の落ち込みで、せっかくの景気回復基調に水を差しかねないから、その対策予算を計上すべきという声が根強い。 現に総額で5兆円ほどの経済活性化策が報道されている。

 それでは、実質1%の消費税引き上げ効果しか期待できないことになる。 財務省などは消費税を5%から8%へ引き上げることで、財政再建の方向にともかくも舵を切れると胸を張れるかもしれない。 その横で、消費税引き上げにかこつけて追加予算を分捕り、してやったりの族議員などはほくそえんでいる。

 これでは国民の負担が増えるばかりで、なんのための消費税引き上げかとなってしまう。 なにしろ、実質1%の引き上げ効果しか期待できないのでは、財政再建も借金返済も遅々として進まない。 そして、既得権益層や利権集団ばかりがぬくぬくと太っていく。

 そもそも、バブル崩壊後の財政悪化と国の借金の急膨張は、バブルに踊り狂った企業や金融機関を潰さないようにと、後ろ向きの予算を投入し続けた結果である。 その多くが死に金となってしまったのだ。 バブル企業や金融機関に延命措置を施す代償として、日本経済の活力を奪い続けたわけだ。

 その構図は変わっていない。 さすがに不良債権処理は一段落したが、いまだ税金を払わない企業や金融機関がゴロゴロしているではないか。 彼らが税支払いを免れている分だけは、間違いなく財政悪化に拍車をかけている。 その負担が、国の借金の急膨張であり消費増税なのだ。

 どうしたら良いのか? いつもの繰り返しとなるが、消費税は社会保障税として年金支払いにのみ充当させる。 それでもって、国民に広く薄く負担してもらうことの意味を明確に示し、8%どころか本当に必要な水準までの引き上げに理解を求める。 一方、年金支払いを切り離した一般財政は、真に必要な予算投入先は何かを透明性をもって追求できる。 

 こうしてやれば、年金不安は一掃してしまえるし、不透明な予算の膨れ上がりは選挙でチェックできる。 その流れで、族議員や既得権益層を減らしていかないと、国の借金はいつまでたっても減らない。 もたもたしていると、財政破たんや国債暴落といった見たくもない現実に、日本全体が直面することになる。