われわれ長期投資家は、いつも10年ぐらい先までを、まとめて考える。 10年ぐらいの間に起こりうる経済現象と、それがもたらす社会の大きな変化を読んで、必要な手を早め早めで打っていくわけだ。
小泉政権が終わってからというもの、自民党で3人そして民主党で3人の首相が登場したが、いずれの政権も将来の方向がさっぱり見えない迷走状態を続けてくれた。 ひとつだけはっきりしていたのは、このままではダメだ、一刻も早く政権を代わってもらいたいということだった。
そんな状態では、将来を読みようがない。 その横で、日本経済のじり貧とデフレ現象だけが深刻度を増していた。 株価や地価も低位低迷し、先行きの明るさなんてこれっぽっちも感じられなかった。
そこで長期投資家としては、なにがあっても変わらず存在する人々の生活と、それを支える企業活動だけに絞り込んで、株を買っておこうとずっと提案してきた。 これだけ株価全般が安いのだから、生活者にとってなくなっては困る企業を応援しつつ、長期の財産づくりを進めておくのが一番安全で確かな行動であると、言い続けてきたはず。
さすがに昨年末、もうこれではマズイということで、野田首相が衆議院の解散と総選挙を断行し、安倍政権が誕生した。 そこからは、日本経済全般にこれからは良くなるぞといった期待感が横へ横へと広がっている。 われわれの長期投資は、ここまででも既に大きな実りをもたらしてくれている。
それはそれでいい。 大事なのは、これからだ。 無為無策の政治が続いている間は、誰もなにも動かないから、将来どうなるかなど読みようがなかった。 ようやく、安倍政権になって3本の矢やら異次元の金融緩和やらで、政策の動きが出始めている。
政策が動き出せば、それがどのようなプラスやマイナスをもたらすか、いろいろ先行きの想定ができる。 そして、必要な手を打てる。 これからが、いよいよ長期投資家の本領発揮である。 やみくもにアベノミクスを踊るのではなく、株価上昇や景気回復のトレンドに悪乗りしつつも、いずれ出てくるマイナス面の対策も怠りなくやっておける。
その辺りは、これからの運用成績にも、はっきり出てくるだろう。 この5か月半の株価上昇に救われた程度のところと、ここまで徹底的に企業の応援買いをしてきて、なおかつ将来の展開を読み込んでいる長期投資家との違いは、まあ見ておれといっておこうか。