計算高くはつまらないが

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 やたらと計算高い人がいるが、あまり付き合いたくないもの。 お金お金で眼を吊り上げた人生ではつまらない。 お金は天下のまわりもので、どんどん経済の現場へ回してやることが大事である。 とりわけ、長期投資家はお金を無為に寝かせておくなど、もったいない限りと考える。

 それはそれとして、お金にまったく無頓着というのも問題である。 たとえば、余ったお金は預貯金に放り込んでおけばいいぐらいの感覚の人が結構多い。 昔であれば、預貯金に預けたお金は企業への融資に回ったり、産業インフラ投資に向けられたから、間接的ながらお金は経済の現場でしっかりと働いてくれた。

 ところが、いまや銀行の預貸率が74%にまで下がり、企業への貸し出しは激減している。 貸し出しに回らない部分は大半が国債購入に向けられる。 郵便貯金に至っては、70%が国債購入である。

 いうまでもないことだが、預貯金に置いておいても年0.02%にしかまわらないし、国債購入でも10年物で年0.7%だ。 そんな低利回りに790兆円もの預貯金が眠っているというのは、一体全体どれだけもったいないことか。 年0.02%とか0.7%しか富を生まないところに、日本経済の1.7倍もの資金が眠っているわけだ。

 いくらお金に無頓着といっても、ひどすぎるし危険でもある。 たしかに、これまではデフレが続いたから、そんな低利回りの預貯金や国債購入でも、それなりに価値があった。 しかし、いまや政府も日銀も2%のインフレ目標を高く掲げている。 なにが何でも2%の物価上昇を実現するのだといっているのだ。

 国を挙げての物価上昇2%は、どのくらいのタイミングで実現するのかは分からない。 しかし、方向は定まった。 となれば、年0.02%の利回りにしかならない預貯金など、まったくお話にならない。 どれだけの目減りか、もう考えるまでもないだろう。

 一方、株式の平均配当利回りは昨日で2.05%である。 株を買っておけば、配当利回りだけでも物価上昇に対応できる。 その上、なんでもありのインフレ目標政策で、物価が本格的な上昇に転じたら2%程度で収まるわけがない。 同時に、株価は相当に高くなるだろうから、いまのうちに株式シフトしておけば資産価値の防衛以上の財産づくりが期待できる。

 あまりに計算高くは嫌だが、理にかなった行動だけはしておきたいものだ。

 

 ブログへのコメントや質問への回答は、毎月第2第4水曜日20時より配信される生放送番組、「インベスターズTV水曜劇場」にてお答えしております。 当ブログでお答えすることはありませんので、ご注意ください。 インベスターズTV水曜劇場は http://www.investors-tv.jp でご覧になれます。

 

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