日本経済は1990年代半ばに記録した515兆円から、直近は470兆円にまで規模を縮めている。 およそ8.7%の縮小である。 それは名目値であって、物価の上昇や下落を修正した実質値でみる方が正しいという見方もある。
たしかに、実質の経済成長率でこの21年間を振り返ると、日本経済はすこし落ち込んだぐらいということになる。 つまり、日本経済はそれほどひどい状態にはないといった数字のだましを食らってしまう。 エコノミストなど専門家は実質値を使って経済を語るが、どこか釈然としないものがあるじゃない。
そうなのだ。 経済は日々の生活やそれを支える企業活動が集まったもの。 やはり、その時々の価格を反映させた数字データで経済をみた方が実感がある。 また、これからの取引を始めすべての経済活動は現在の価格をベースに織り成されていく。 実質値ではこれこれの値段のはずだが、なんていっていたら商売にならない。 あくまでも時価である。
経済が縮小している典型例が、給料やボーナスが減っていることだろう。 デフレが続いているから、実質的な購買力は下がっていないと専門家にいわれても、ちっとも嬉しくないはず。 給料が減っているのは現実で、生活者としてはその対応を考える。 すぐ出てくるのは消費を抑えようとすることだろう。 個人個人が消費を少しずつでも抑えだすと、それが経済全体の縮小トレンドに拍車をかけてしまう。
この悪循環にはまってしまっているのが、この21年間の日本経済である。 それがデフレ経済というものだとかいって、しゃあしゃあとしている専門家もいるが、日本経済が縮小しているのは現実である。 給料は増えないし。将来不安も高まっている。 とてもではないが、しゃあしゃあとしておれる状況にはない。
どうするか? まともな政治や経済センスのある政策を期待したいところが、のんびり待ってもいられない。 やはり、われわれ生活者が動くしかない。 経済は動いているお金の量とスピードだから、とにかくお金を動かしてやることだ。 将来が不安だからといって、お金を抱え込んではいけない。 それをやってしまうと、この21年間を延長するだけで経済はますます縮んでいってしまう。
いつもの繰り返しだが、日本経済の活性化なんて簡単である。 個人の預貯金マネー790兆円は、世界最大の眠れる資源なのだ。 その5%でも10%でも長期投資にまわすだけで、経済活動全般は様変わりに元気一杯となる。
預貯金の大半は高齢者が持っており、高齢者が長期投資なんてとてもとても? 構わない、高齢者に無理して長期投資を求めなくてもいい。 動くべきは、 預貯金の40%を保有している現役層である。 終身雇用も年功序列の賃金上昇も過去のものとなってきたし、年金不安も高まるばかり。 現役層ほど真剣に経済活性化と、将来の自分年金づくりを考えなければならないはず。
現役層の最大の強みは、毎月の給料があるということ。 たとえ、現時点の預貯金残高は少なくとも、その多くを長期の投資にまわすことができる。 現役層が生活防衛と自分年金づくりで本格的な長期投資に踏み切ってくれたら、下手な政治家よりもよほど健全な日本経済活性化を実現できる。
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