投資でも出資でもない、お金の流れを作っていこう

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 経済は動いているお金の量とスピードで、その規模つまり成長率が決まってくる。 日本経済を元気にさせるには、個人消費や企業活動を活発化させることが先決。 それに加えて、預貯金に眠っている個人マネーをできるだけ多く、投資や出資に向かわせることが求められる。 いわゆるリスクマネーが、経済の現場にどんどん流れ込んでいくようにしてやるのだ。

 リスクマネーというと、すぐ身構えてしまう人が多い。 損をするのではないかからはじまって、騙されはしないかとか、リターンはどのくらいになるのかといった具合に、お金の計算ばかりが前面に出てきてしまう。 リスクマネーの先に広がる、大らかで生命力にあふれた経済というものを、ほとんどの人はみたこともない。 それが、日本経済をジリ貧に追い込んでいる一因でもある。

 もっと正確にいうと、預貯金に眠っている個人マネーは771兆円もあって、日本経済の1.6倍にも上る。 この世界最大の眠れる資源を如何にして経済の現場に流れ込ますかは、日本の将来を大きく左右してしまうほど重要な課題である。 早い話、預貯金マネーのたった10%が動くだけでも、日本経済の16%にあたる巨額資金である。 リスクマネーどころか、日本経済の救世主となる。

 そこで大事なのは、動くべき個人マネーは投資や出資に向かうだけではないということだ。 お金が殖えるとかの計算ずくの世界を超えて、もっと大きく広がってよい。 たとえば、個人個人がおもしろがったり楽しんだりすることに、じゃんじゃんお金を使ってくれるのだって構わない。 なにに使うかは、個人それぞれの自由。 とにかく日常生活での消費を超えて、お金を使ってくれることが日本経済活性化につながる。

 そんなわけで、日本経済を元気にさせ子供や孫たちに明るい将来を残してやるためにも、できるだけ多くの人々と一緒に投資や出資とは違う方向でも、お金の流れを太くしていってやろうと強く思う。

 今日ご紹介するのは、ずいぶん前からお手伝いさせてもらっている音楽事務所を応援する企画。 音楽事務所を主宰する輪嶋さんは、熱烈なファンと一緒に韓国が生んだ100年に一度といわれたテノール歌手ベーチェチョルさんを、ずっと応援してきた。

 どういった応援かというと、オペラの本場ヨーロッパで大活躍していたベーさんに甲状腺がん発生。 その摘出手術で声帯と横隔膜の神経を切断し歌手生命が絶たれた。 なんとかもう一度歌いたいベーさんの熱い思いを背に、輪嶋さんは世界中を飛びまわって最終的に京大の名誉教授一色先生に行き着いた。 一色先生による2度の声帯復活の手術を受けたベーさんは、一応は声を出せるようにまでなった。

 そこから、ベーさんはものすごい努力で声量を少しずつ回復させていった。 その間も、輪嶋さんやファン達はずっとベーさんを励まし続けた。 3年4年と発声訓練を続けて、遂にベーさんは復活した。 復活して最初のファンお披露目は、もちろん日本でだ。 一色先生にもお越しいただいて、輪嶋さんもファンもみながベーさんの復帰を喜んだ。 7割がた戻ったベーさんの歌に、会場のみなは涙また涙。

 2009年の復帰後も、ベーさんの努力は続きいまや声量は全盛時近くまで戻った。 信じられないことに、横隔膜の神経を切断したため、右の肺が萎縮して真っ白になっていたものが、元に戻ってきたことだ。 一色先生は、これまでの医学の常識では考えられないことが起こったとおっしゃる。 人間の歌声に必要な3つの神経すべてを切断した声楽家の復帰は昨年、ドイツで開かれた世界の声帯学会で絶賛され、数学の分野におけるフィールズ賞に並ぶ一色賞が生まれた。

 ベーさんの復活劇で、韓国の人々は大きなショックを受けた。 韓国の国民歌手であるべーさんを、歌手生命が絶たれた後も復活を願って、ずっと暖かくサポートし続けた日本の輪嶋さんやファンたちに、これは負けて入られないとなった。 そこで急遽もち上がってきたのが、日韓共同でベーさんと輪嶋さんの友情を中心テーマにして芸術への熱い思いを映画にしようという企画。

 映画製作にあたって、韓国サイドは政府機関である韓国映画振興協会がサポートするが、日本でもコマーシャリズムを排した製作体制を築きたい。 それには、資金作りをどうするかが問題となった。 だったら、そのお手伝いしようじゃないかということで、株式会社ソーシャルキャピタル・プロダクション(SCP )が立ち上がった。

 先にも書いたように、資金を募集するのではない。 ”奇跡、君の歌声を再び” という映画製作に、おもしろいじゃないか手伝おうという方が、どんどん参加してもらえればそれこそおもしろい。 お金がお金として戻ってくることはない。 映画のエンドロールに全員のお名前が出るぐらい。 その代わり、思い切り楽しめるのではないか。

  http://www.social-capital.jp/

 

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 本を出しました。今回は電子書籍版として、スッと読めるボリュームに抑えました。 さわかみ投信現社長の黒島の本も合せてご紹介します。ちなみに、黒島の本は紙媒体も用意しております。

 澤上篤人「お金をまわして日本を元気にさせよう」
 http://itunes.apple.com/jp/app/id475297966?ls=1&mt=8

 黒島光昭「特許物語」
 http://itunes.apple.com/jp/app/id459089234?ls=1&mt=8

 http://scps.shop28.makeshop.jp/shopdetail/002000000001/