消費と投資の間に

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 昨日ご紹介した映画製作の応援だが、投資や出資のような金銭的な見返りはゼロである。 しかし、皆さんが応援してくれた分だけは、確実に経済を拡大させることになる。 経済が拡大成長すれば、国民の所得は増える。 したがって、大きな意味では金銭的な見返りもあるということだ。

 日本経済がこれだけ低迷し、ジリ貧に喘いでいるのは国のピンボケ政策に負うおうところが大きい。 しかし、もっと根源的には個人消費の低下傾向という問題がある。 人口が減少しだしているとか、空洞化現象で雇用に不安感が出ているからとか、いろいろな理由が挙げられるが、もっと大きな問題がある。

 お金を使う動機が減ってきているのだ。 高度成長期までは、より豊かな生活にあこがれて人々は次から次へと耐久消費財を手に入れていった。 いまや、ほとんどのものは手に入れてしまった。 日常の生活必需品や旅行あるいは趣味などに相変わらずお金を使ってはいても、いかんせん耐久消費財への消費ががくーんと落ちてしまった。 あっても、せいぜい買い替え需要ぐらいのものとなってきた。

 エコ家電とかエコカーへの買い替え補助といった政策が打ち出されると、一時的に需要は膨らむ。 それも、予算枠に達したら終わりで、むしろその後の反動の方が怖い。

 景気が悪いとか、雇用不安とか、所得が伸びないとか、それらのすべては国民のお金の使い方が鈍っているからだ。 もうこれといって買いたいものがないといって、お金を使わず抱え込んでしまう。 その結果として、あらゆる分野で経済活動が縮小の道をたどることになる。

 だから、国民の多くが意識的にでもお金を使うことが大事になってくる。 そこで、前々から預貯金に虎の子を寝かせておかず、本格的な長期投資にまわそうと繰り返し訴えているわけだ。

 同時に、皆さんがおもしろがって映画製作にでも何でもお金を使ってもらうことも、大きな意義があるわけだ。 皆さんが使ったお金は無駄金として消えてなくなってしまうのではない。 使われたお金は必ず誰かの収入となって、経済の拡大発展につながっていく。 この流れを太く大きくしていくことで、日本経済の成長率は高まるし、結果的に皆さんの所得増加になっていく。

 おもしろがったり、社会的な意義を感じるところへ、お金をどんどん使っていくことが成熟経済を拡大発展させていくエネルギーとなっていくのだ。 日本は一刻も早く、そこのところに気がつかなければならない。

 

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 本を出しました。今回は電子書籍版として、スッと読めるボリュームに抑えました。 さわかみ投信現社長の黒島の本も合せてご紹介します。ちなみに、黒島の本は紙媒体も用意しております。

 澤上篤人「お金をまわして日本を元気にさせよう」
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 黒島光昭「特許物語」
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