来年の見通し

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 毎年この時期になると、日経新聞はじめ多くのメディアから来年の経済や投資環境の見通しの立て続けなどの取材を受ける。

 おもしろいのは、自分のところへは最後にしようと決めている取材が多いことだ。 他のところは取材前から大よその見当がつく。 どの専門家にあたっても、日本経済に対しては問題含みとみており、株価が上昇する材料が見当たらないと、相当に暗い話しばかりを嫌というほど聞かされる。

 そこで、最後の取材先のうちでなら、ちょっとは景気の良い話を聴けるだろうと期待してくれているわけだ。 別に無理して強気を言っているわけではないが、うちぐらいしか元気な話が聴けないというのも、長期投資家冥利に尽きる。

 日本経済の先行きに楽観できないといったところで、それは全体の話だ。 政治は相変わらず選挙の票集めにキュウキュウした政策に追われているし、自助意識の欠けらもない政府外郭団体や民間企業は、ただ予算のバラまきを期待するだけ。 これでは、経済全体が力強く上昇するはずもない。

 大体からして、いつの景気回復でも世の中が明るくなったと認めるのは、景気の谷から山までの過程でいうと、既に5合目あるいは6合目あたりに達した頃である。 自助意識の高いところが先行して新たなる富を築いていき、それをみて後続が次々と前向きの行動に移っていって、景気は徐々に回復トレンドに入っていくわけだ。 みなが同時一緒に景気回復を実感するなんてありえないこと。

 したがって、いまのような時は全体などみていたら、先行して走り出している自助意識の旺盛な企業群を見逃してしまう。 長期投資家としては落第もいいところ。 現に、個人的な見解ではあるが、上場企業が3800社あるうち、たった600社しか投資したくはない。

 株価の見通しが暗い? みなが逃げ惑っているのだから、相場動向に明るさが感じられないのは当然のこと。 個別企業ベースでは、収益基盤はどんどん強化されている。 上記の600社ではないが、どこかで一部の企業の株価が見切り発車的に上昇に転じよう。 その動きが出てくると、株式市場の雰囲気はたちまち強気に一転する。 もう売りが枯れているから、意外に上昇ピッチは軽いはず。

 いまは誰もイメージできないだろうが、想像以上に大きな上昇相場に発展していく可能性すらある。 個人の預貯金マネーや国債購入に回っていた資金の一部が、本格的に株式シフトを始める状況が整ってきているのだ。

 預貯金においておいても、こんな超低金利下では、年0.02%の利息しかつかない。 元本を2倍にするのに、3600年もかかってしまう。 一方、専門家はインフレなどあり得ないというが、庶民感覚的にはどこかでインフレの到来もありそうな予感がする。 そうなれば、預貯金資産は大きく目減りする恐れも否定できない。 株が上昇基調に入ってきたのなら、ちょっと株を買っておこうという気にもなる。

 国債は10年保有しても年1%に届かない低利回りだから、新たなる投資妙味はまったくといっていいほど感じられない。 いつ値崩れを始めるか、みなおどおどしている。 もうどこで国債から株式へのシフトが始まってもおかしくはない。

 こう考えてくると、われわれ長期投資家の強気はどれも地に足がついた読みの上に立っていると思えないか。 どっしりと構えて来年を迎えましょう。

  

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