たまには相場のことを書いてみようか、そんな気にさせてくれる株高を昨日の米国株市場は見せてくれた。
株価が大きく上がってくれたのは、米国の住宅着工など経済統計が堅調だったことが大きい。 ということは、別の経済指標が悪かったりすると、逆に売られることもあり得る。 だから、相場が上がった下がったに一喜一憂しても、なんの得るものはないということだ。
では、なぜ相場のことを書こうとしているのか? この2ヶ月ほど、米国株市場の売買代金がやたらと小さくなってきているのだ。 悪材料が出て大きく下げた日も、売買代金はなんの膨らみも見せず、セリングクライマックスといった感じがしない。 昨日のように株価が大きく跳ね上がった日も、やはり大した出来高となっていない。
これは、なにを意味するのだろうか? 株式投資の魅力が低下してきて、市場参加者が減っているから? たしかに、最近は株式投資に逆風となる環境が続いているから、投資家の株式離れがあるのかもしれない。
とはいえ、多くの投資家は相場次第で買い気を強めたり、逃げモード一色になったりするもの。 年末から2012年はじめにかけて、米国株市場が続伸傾向を強めていけば、どこに隠れていたかと驚くほど多くの投資家が株買いに舞い戻ってくるのは間違いない。
そんなことよりも興味深いのは、これだけ低水準の売買代金が地べたを這うように推移していることだ。 もしかして、売りが枯れてきているのかもしれないといった観測もできよう。
2007年8月のサブプライム問題に始まって、2008年9月のリーマンショック、そして米国の財政赤字悪化など、次から次へと出てきた悪材料で、株価はその都度大きく売られる展開を嫌というほど繰り返している。 そんななか、売りものはどんどん吸収されていった。 もちろん、発行済み株式数に変更はないから、この世から株式が消えてなくなったわけではない。
付和雷同的な投資家や、現在の投資環境で株式投資に魅力を感じない投資家のほとんどが、ここまでの荒れ相場に耐えれず出て行ったと考えられる。 残っている投資家の多くは、現水準の株価に大いなる将来可能性を期待しているわけだ。
売りが枯れてきて、将来の株高を期待する投資家が多いということは、われわれ長期投資家にとって大歓迎である。
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