昨日、ある国立大学で主として3年生対象の講義をした。 3年生ということもあって、質疑応答の時間に就職がらみの質問が出された。 質問そのものは、社会に出て行くにあたって産業界の将来像を俯瞰して欲しいといったところ。
長期投資という仕事をずっとやっているから、いろいろな産業の将来見通しといった点においては、結構いいアドバイスができると思う。 自分達のリサーチや投資の対象が、いろいろな企業や産業の将来可能性を追求することに他ならないのだから。
面白いのは、一般的に学生の就職希望先は短期投資に近いものがある点だろう。 今現在、世の中の賞賛を浴びているところに飛びつきたいという考え方というか心理では、どちらも同じである。
たとえば、学生の就職希望先のランキングでは往々にして、その時々の花形企業が上位に並んでくる。 いまを時めく企業あるいは産業はマスコミなどで囃し立てられるから、学生諸君やその親にとって一番の選択基準となるのは人情だろう。
残念ながら、ちょっと長い目で見れば高値づかみとなるケースがほとんど。 短期投資であれば、相場が下げに転じたと判断して損切りして、別の投資対象に向かうたけのこと。 ところが就職となると、そうぱっぱと会社を変えるわけにはいかない。 ピークを過ぎて下降に転じた産業で長い人生を送り、就職先の選択を間違えたとなりかねない。
逆に、いまはまだちっぽけな存在ながら、将来に向け大きな夢を追いかけようとしている企業に職を求めた学生は、ダイナミックで面白い人生を歩むことになる。 将来の可能性を徹底的に追求する長期投資と同じだね。
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