ユーロ問題はなかなか沈静化せず、最近はEU共同体そのものへの不安も云々されるようになってきた。 欧州連合国家というところまでいってしまわないと、ギリシヤやイタリアなどの財政危機や債務問題は、それぞれの国内政治も絡み根本的には解消されないという。
そうはいうものの、EUの政治統合が果たして実現に向かうのかどうか、そう簡単ではなさそうだ。
日本はもちろんのこと、多くの国々で国家運営そのものが民主主義の弱点をさらけ出して、どんどん大衆迎合的になってきている。 常に選挙を意識した近視眼的な政治にどうしても陥りがちで、国民に痛みを伴うような改革は先延ばしする傾向が強くなっている。
たとえば、金融バブル崩壊の後始末でも ”銀行は大きすぎて潰せない” といった政治判断を優先した。 その結果、米国も欧州各国も財政負担を一気に拡大させてしまい、その後の景気対策予算を先食いした。 景気動向がもたついている中、各国政府は打つ手が狭められる羽目に陥っており、まさに日本がバブル崩壊後に歩んだ道をたどっているわけだ。
金融問題のみならず、先進国中心に高齢化も民主政治に大きな影を落としつつある。 高齢者の票を確保するためには、否応なしに財政負担が拡大する一途の政策を迫られる。 将来の世代につけを回すのは拙いと誰もが思う。 しかし、高齢者の不利になりかねない抜本的な改革はなかなか断行できない。
これら大衆迎合的な政治の横行は、世界の指導層が小粒になってきただけの問題ではない。 チャーチルの言っていた、”民主主義は最低の政治形態だが、それに勝るものもない” そのものなんだろう。
一国の運営においては、いろいろ面倒で重苦しい問題を引きずるのに比べ、企業の方は経営次第ではあるが世界経済のグローバル化という流れを存分に満喫できる。 なんの制約もなくビジネス拡大に専心できる。
もちろん、社会正義や環境など公益を重視するのは当前のこと。 むしろ、そういった公の意識をはっきり打ち出すことが、長期的にみてビジネス拡大にプラスとなる。 民主政治の限界をグローバル企業がカバーする図式が、ひとつの新しい方向となるのかもしれない。
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