最近は情報通信やコンピュータ処理技術の飛躍的な発展もあり、
瞬時反応型の投資家がやたら幅を利かせている。
その代表が、ヘッジファンドだろう。
売買手数料も昔と比べると、ただ同然の水準になってきているから、
もう好き放題に目先投資を繰り広げられる。
すごいのは、世界の市場を対象に価格の歪みをついて、
割高を売り割安を買う裁定取引をそれこそ秒単位で、次から次へと展開する点であろう。
これなど、コンピュータの力を借りなければ不可能である。
そういった瞬発力の高いというか、
瞬発力だけが勝負といった投資が世界中のマーケットで大暴れしている。
株式市場においても、マーケット間の価格差を狙った裁定トレーディングやら、
先物取引を駆使したロングショートやら、もう何でもありだ。
ややこしいのは、年金など巨額の資金を運用する機関投資家の資金がその背後にあることだ。
年金などがヘッジファンドに運用委託して、とにかく投資リターンを最大化してくれと迫る。
投資収益さえ上がればどんな投資をしても構わないということだ。
だから、最近の世界のマーケットは、
政治経済あるいは社会情勢の変化に即時反応して右へ左へと揺れまくっているだけでも、
大きな運用資金を背景としているから影響力もすごいものがある。
小さな資金でちょこまかするぐらいなら無視してしまえるが、年金資金が背後にあるとなると話は別である。
ただ瞬発的に反応しているだけのドタバタ投資だろうとなんだろうと、
一応は世界中の機関投資家が参加している。
それが故に、出来上がってくる市場価格は現在の実勢として評価されて、
世界の経済活動などへ影響していくわけだ。
市場価格というものは極めて客観性の高い経済指標なので、
単にヘッジファンドが部分最適を追求して暴れまくっているだけの価格形成でも、
一般の経済活動においても無視できない事実として組み込まれてしまう。
かなり危険である。
さてさて、われわれ長期投資家はどう対応すべきか。
ものごとは時間が立てば、収まるところに収まっていくのが自然界の摂理である。
経済においても、合理への回帰はいつでも絶対である。