昨晩の民族文化映像研究所のフィルム上映会は大盛況だった。
主催したうちのさわかみ財団にとっても、
これだけ多くの方々にじっくり鑑賞してもらえて、本当に良かったという思いで一杯である。
40年前は160名を数えた四国の山奥の小さな村落が、いまや8名とか。
急峻な山間の小さな村落ではありながらも、人々は力を合わせて生きていた。
貧しいながらも皆でお祭りをしたり話し合いをしたりで、
共同体意識を高めて生活を営んでいた。
そこに、人々の文化があった。
いまや8人、それも70歳以上と聞く。
子供達は山を離れ、
ほんの一部の人々が時折畑の手入れにやって来るだけという。
時代の移り変わりと言ってしまえば、それまでのこと。
しかし、30年でぐるっと一回りする焼畑で、
肥料を一切使わない自然そのものの農業は、
もう映像の中でしか存在しない。
ノスタルジックな思いに浸っているわけではない。
人々の生活が長い時間をかけて磨きこんできた、
その地の自然に溶け込んだ生き方が、
ひっそりと消えていくことで失ってしまうものは実に大きい。
もはや現代文明の利器である機械の力で
自然を克服しつつあるといった人間の思い上がりは、
今回の地震や津波でその無力さを思い知らされた。
ただ単純に昔へ戻れという気はないが、
長い歴史を持っている文化や伝統から学ばせてもらえることは
一杯あると思う。
なにもかも合理化とか機械化とかではなく、
大自然の中で住まわせてもらっているという感謝の気持と、
そこから生まれる知恵をもっともっと大事にしたいものだ。