個人金融資産は昨年末時点で、1489兆円だった(日銀速報)。
うち、766兆円が預貯金残高だ。
766兆円というと、日本のGDP(国内総生産)の1.6倍に上る巨額な金額である。
それだけ巨額資金が年0.02%ほどの利子収入しか得られない、
つまり年0.02%しか富を生まない状態にあるわけだ。
もっとも、預貯金は預け先の銀行や郵貯を経由して企業融資や国債購入にまわっているから、
まったく富を生んでいないというわけではない。
ただ、中小企業に対する貸し渋りの現状や野放図な国債購入ぶりをみるに、
日本経済の活性化にどれだけ貢献しているのかは疑問である。
たとえば、預貯金の10%にあたる76兆円だけでも引っ張り出してきて、
消費にまわしてやれば単純計算でも日本経済を15.8%押し上げる要因となる。
正確には76兆円が預貯金から引っ張り出されることで発生するマイナス要因を差し引かなければならないから、
おそらくネットで12%ぐらいの経済拡大効果となるのだろう。
消費の代わりに株を買っても良い。
年0.02%と年12%とでは、どちらが良いかなんて比較の対象にもならないだろう。
ところが、国民は年0.02%を選んでいるのだ。
それでいて、景気が低迷しているとか日本経済の先行きが不安だとかで身をすくめるばかり。
自分の預貯金をほんのちょっとだけ消費や株式投資にまわしてやるだけで、
経済は元気になり自分の収入も増えるというのに。
信じられないような宝の持ち腐れを平気な顔してやってしまっているわけだが、
その預貯金がいつまでも無事に存在するなんて思うのは甘い。
どこかでインフレが到来したら、一発で価値を目減りさせてしまう。
あるいは、太量発行が続く国債が値崩れをきたすと銀行など金融機関の経営が揺さぶられる。
そう考えると、いまのうちに預貯金を引き出して消費でも株買いでも、
ともかく経済の現場へ放り込んでおいたほうが賢明だと思うが。