運用会社の使命感は、投資家顧客のニーズに応えるべく最大限の努力を払うことである。
投資家顧客が短期の成績を期待する場合もあれば、長期でどっしり構える場合もある。
あるいは、リスク許容度をどのくらいに設定するかといった要求もある。
そういった顧客ニーズを忠実に反映した運用を、トコトン誠実に追求するのは当たり前のことである。
多種多様な顧客ニーズに応えようとすれば、
運用会社はそれに応じた幅広い業務体制を敷く必要がある。
間違えても、いろいろな運用ニーズを一緒くたにしたドンブリ運用に陥ってはならない。
そんなことしたら、投資運用会社の使命感など何処へやらである。
ところが現実には、
毎月きちんと分配金を払いつつも長期で安定した財産づくりをお手伝いします、
といった売込みの投信ファンドが次から次へと設定されている。
それが本当に毎月分配しながら、
ファンド基準価額も長期上昇トレンドを追っていくのなら、とんでもなくすごいことといえる。
これまでのところ、そのようなタイプの投信の多くでは、
分配した金額分の一部なりかなりが基準価額に食い込んでしまっている。
既に受け取った分配金と、
目減りはしているものの最大限の運用努力を重ねた基準価額を合わせたものが、
お客様の資産づくりの成果ですよというわけだ。
この立て付けに、ファンド購入当初から納得している投資家顧客であれば、その運用でもう十分。
しかし、一部でも分配金プラス基準価額の成長を期待してファンドを購入した投資家がいれば、
これは問題である。
ドンブリ運用をしていることになる。
そこで日本の場合は、販売会社が売っているから運用する投信サイドは与り知らぬことで、お茶を濁してしまう。
その結果は?
日本の投信がいまいち爆発的な拡大できない歴史となっている。
せっかく貯蓄から投資への社会ニーズが高まりつつあるのに、投信業界が自らチャンスを潰してしまっているのだ。
責任は投信会社にある。
真に投資家顧客からの信頼を獲得しようとしない、
またその気概がかけらもないなんて、運用会社の使命感欠如もいいところ。