再々度いおう、アベノミクスに悪乗りしようと

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 アベノミクスが登場したころから幾度も繰り返してきたことだが、アベノミクスの良い面には積極参加して景気を一気に引き上げたいもの。

 良い面とは? 資産効果を景気回復に積極活用させようとしている点だ。 資産効果とは、地価や株価が上昇することで人々の心理を前向きにさせ、民間資金をどんどん巻き込みながら経済活動や個人消費をスパイラル的に高める作用を言う。

 公共投資など一般的な景気対策は国や自治体が予算を投入して、経済活動を活発化させる呼び水になろうとする。 しかし、それでは民間サイドが公的な資金に頼る度合いを強めるだけで、国や自治体の借金が膨れ上がる一途となる。

 一方、資産効果は民間サイドにアニマルスピリットを呼び覚ます面が強い。 土地の値段や株価が上昇基調を強めれば、その波に乗り遅れたくないと慌てだすのが人情というもの。  一刻も早く上昇の波に乗ろうと、多くの人々が飛びつき買いしてくる。

 その動機は何であれ、民間資金が加速的に増えながら経済の現場に流れ込むことは、そのまま経済活動活発化となり景気も上昇に転じる。 

 バーナンキ FRB 前議長が断行したのも、まさにそれである。 住宅ローン債権や米国債を無制限に買い入れるとアナウンスし、かつ強力に実行することで資産価格の上昇を狙った。 それが株式市場においても買い安心感を誘い、株価の大幅上昇につながっていった。

 実際、米国の景気は他の先進国が苦しんでいるのを尻目に、早々と回復基調を強めている。 それを先導しているのは、株価上昇などがもたらしている資産効果である。

 日本においても、株式市場の時価総額がバブル期を上回る水準にまで急増してきている。 その資産効果がこれから経済の現場あちこちで吹き出てこよう。

 資産効果といっても、一部の人達が嬉しいだけ? 多くの人々がデフレ経済や景気不振に苦しんでいる? それを言っても始まらない。 経済というものは、先ず誰かが動いて全体のパイを大きくすることによって、他の人達への配分も増えるというもの。

 いま動ける人たちが、どんどん前向きに経済活動を引っ張ることで、全体も動き出すのだ。 先ず誰かが動かなければ、全体は縮小トレンドに沈んでいくままとなる。

 そういうわけで、アベノミクスの良い面が出ている間に、株価水準をどんどん押し上げて経済活動を目一杯高めてしまおうではないか。 それが国民皆の幸せにつながっていくのだ。

 悪い面とは? ものすごい資金のバラ撒きによる超低金利誘導と、危機状況にある財政を補うべく国債の大量発行は、いつか限界に達する。 その時は、国債の暴落や長期金利の急上昇、さらにはインフレかスタグフレーション突入は避けられない。

 早い話、日銀黒田総裁の狙う2%インフレ目標や景気回復が顕著になってくるや、長期国債利回りが現在の0.5%水準に収まっているはずがない。 必ず2%はおろか3%4%へと急上昇する。

 日本の景気は元の木阿弥? そうではない。 アベノミクスの悪い面が噴き出てくる前に、株価水準も景気のレベルもできるだけ引き上げておけば、いざドスーンと来てもバッファーが大きくなっている分だけ落ち込みも軽微となる。

 だから、アベノミクスの良い面には悪乗りしてでも長期の株式投資をもっともっと積極化させよういうわけだ。 それが、日本の景気回復にも個人の資産防衛にも最善の方法となる。