新著、「大暴落! その時、どう資産を守り、育てるか」が売れているようだ。
本が売れることよりも、それだけ世の中の関心が高いのを実感する方が意義深い。
庶民感覚というか、人間が本来もっているバランス感覚が働いているのだろう。
その点、為政者や運用のプロといわれる機関投資家たちは、現行のトレンドにこだわり続ける。
国や中央銀行などからすると、現在の政策方向をそう簡単には変えられない。
よほど強い決意で政策転換しない限り、あるいはもう手も足も出ない状況に追い込まれない限り、政策は変わらない。
一方、機関投資家たちは「音楽が鳴り続く間は、ダンスを踊り続ける」ことが、職務となっている。
彼らは運用成績を追い求め続けるのが職務であるから、相場を途中下車するなんて到底できない。
かりに、上昇相場を自分の判断でもって、中途から売りに入ったとしよう。
その直後から相場が下げに転じてくれたなら、最高の投資判断をしたことになる。
そんな僥倖はめったに、お目にかかれない。 まして機関投資家は巨額の資金を運用している。
いざ売りに入っても、運用資金の大半を売り切るまでには時間がかかる。
そうこうしている間も、上昇相場が続いたならば、その先では悲劇が待っている。
こちらは売りに入っている。 ところが、競争相手は相変わらず上昇相場に乗っている。
運用成績で、どんどん開きが生じてしまう。 そこを投資家顧客から追及され、運用のプロとしての判断ミスを指弾される。
そんなリスクを負うぐらいなら、相場を最後の最後まで踊り続ける方が、よほど安全である。
かくして、機関投資家は上昇相場のトレンドが続く限り、ダンスを踊り続けることになる。
これが、為政者や機関投資家が現行のトレンドが続く方向でもって、それにこだわり続ける図式である。
その点、われわれ一般生活者や長期投資家は、庶民感覚やバランス感覚といったものを大事にした行動ができる。
その観点からすると、現行の金融バブル崩壊も熟柿が落ちるイメージで、その時の準備怠りなくしておこう。
よく、きっかけはと聞かれるが,買って買いまくったものが自然の重みで崩れに入るのは、自然の摂理である。
きっかけをあれこれ云々しているよりも、バブル崩壊後へ向けて、やれることをどんどんやっておこう。
われわれ長期投資家は、いつでも早め早めの行動あるのみだ。