経済活動は、すべて需要と供給の均衡でもって動いている。 その象徴が市場価格である。
需要が多いと、市場での取引価格はどんどん上がっていく。 それを見て、供給者は供給を増やそうとする。
供給が増えてくると、市場での価格は下がりはじめる。 あまりに供給が多くなると、価格下落が加速し、新たなる需要を誘引する。
この繰り返しで、市場での価格は上がったり下がったりしながら、需要と供給を調整していくわけだ。
そういったごく自然体の需要と供給の調整作用をもって、経済合理性が働くという。
それに対し、時として需要が異常に大きくなっていき、どんどん増加する供給を軽々と吸収して、価格が上昇していくことがある。
それを、バブルという。 そのほとんどは、人々の欲が際限なく膨れ上がる、投機バブルである。
投機バブルもいつかは、熟柿が木から落ちるように、その重みに耐えられなくなって崩れ始める。
重みに耐えられなくなって熟柿が落ちる、それも経済合理性が働くことによってである。
一般的な投機バブルに対し、国や中央銀行がやたらと資金を供給する、マネー膨れバブルというのがある。
為政者が資金をどんどん供給してバブル買いを煽るわけだから、経済合理性など蹴散らして価格は上がっていく。
それを見て、買い方はどんどん強気となる。 それどころか、供給サイドも天井知らずの価格上昇に乗って、売りを出すのを控える。
かくして、カネあまりバブルは果てしなく膨れ上がっていく。 まさに、現在進行中の金融バブルがそうだ。
昔から、中央銀行とは喧嘩するなというのが、マーケットでの常識となっている。
資金を無限に供給できる中央銀行が背後に控えているバブル買いに対しては、どんな売り方も勝てないという教訓である。
ということは、さすがの経済合理性も出番がないとなってしまうのか?
その心配は無用である。 国や中央銀行が野放図に資金を供給し続けると、財政の急悪化とインフレを招く。
財政悪化もインフレも、国や中央銀行の政策に対し赤信号を出し、強制的にブレーキをかける作用が働くことになる。
これもまた、経済合理性の然らしめるところである。 マーケットでの価格変動を越えて、さらに強力なブレーキがかかるわけだ。
コロナ対応ということで、この金融バブルもやむなしと、政府や中央銀行はいっている。
その間にも着々と、経済合理性が突如として急ブレーキをかける準備をしているのを忘れまい。