銀行の預貸率が全国銀行ベースで74%から75%辺りをうろうろしている。
預金で集めた資金をどれだけ融資にまわしているかの比率が、
かつてはずっと100%前後だったのが最近では4分の3しか融資していないのだ。
これが、中小企業向けだと68%と、さらに低くなる。
あるいは、地方の銀行や信用金庫だと50%前後というところも一杯ある。
それだけ貸出先がないということらしい。
預貸率が下がっている根本的な理由は、
中小企業中心に経営環境が厳しく銀行としても貸し出しリスクを取れないだけではない。
銀行に個人資金が集まりすぎなのだ。
個人や家計は、
元本安全で確実に利子収入が期待できる利殖商品ということで預貯金を選択する。
銀行は大勢の個人から大切な資金を預かる立場上、
むやみやたらに貸し出しリスクを取れない。
その結果、預金の集まりすぎと貸し渋りとが同時発生してしまう。
これでは経済がまわらない。
大量の個人マネーが銀行預金となって、それが貸し渋りで企業融資に向かわないのだ。
金融は経済の潤滑油といわれているが、
油がまわらなくては経済活動が活発化に向かわないのだ。
といっても、銀行にもっと貸し出させる経営リスクを誰が負うのかの問題は残る。
個人や家計が自分の預貯金を一部引き出して、株式投資に振り向けてやれば、
その資金は経済の現場でぐるぐる回りだし経済活動を活発化させる。
これをリスク資金の供給という。
このリスク資金の供給が日本経済において決定的にかけている。
我々長期投資家の役割は極めて大きいのだ。