マーケット動向に関するマスコミ報道をずっと追っていると、おもしろいことに気が付く。
といっても、われわれ長期投資家はマーケット動向に対しては、つかず離れずの立ち位置を崩さない。
それでもって、株価などが大きく売られたら買いに入り、大きく跳ね上げてきたら利益確定の売り上がりを実行に移すだけのこと。
したがって、多くの投資家のように日々のマーケット動向に神経をピリピリさせるなんてことはない。
せいぜい、やれトランプ発言がどうの、米中の貿易交渉がこうので、マーケットが忙しく反応するのを、マスコミのマーケット報道を通して、のんびりと眺めているぐらい。
そして、機関投資家を含め多くの投資家やディーラー達は、一体どれだけの投資収益を上げているのだろうと、時たま考える。
債券投資でいうと、ずっとゼロ金利が続き、最近ではマイナス金利の世界に入っている。
ということは、債券価格はずっと天井圏を這っており、それほど大きなキャピタルゲインは得られていない。
むろんゼロ金利やマイナス金利だから、利金収入もあるかないかの状況を、ウロウロしている。
つまり、債券投資ではこの10年ほど、大した投資収益を得られていないということになる。
もっとも、1983年から20年ほどは、世界の金利が急激な下降トレンドをたどった。 あの頃は、債券投資で大きな投資収益をあげられた。
しかし、超低金利からゼロ金利に入ってくるにつれて、債券投資での収益は激減して今日に至っている。
では、株式はどうか? 機関投資家の間では、インデックスの先物を投資対象としたディーリングが主流となってきている。
そして、1秒間に1000回とかの高速売買でもって、細かく値ざやを稼ごうとする。
ディーリングだから、上でも下でも構わない、値動きさえあれば値ざやを狙える。
問題は、世界中の機関投資家の巨額資金が、みな同じようなタイミングで同じようにディーリング益を狙うことだ。
いくらコンピュータがやってくれるといっても、得られる値ざやは限りなく小さくなってしまうのは、どうしようもない。
では、個別株運用はどうか? 機関投資家の日本株運用で、80%ほどはインデックス先物に向かっているとのこと。
先ずはインデックス先物が買ったり売ったりされ、それにつられた個別株の値動きである。
ということは、インデックスの値動きに大きな影響を与える銘柄は、大きく買われたり売られたりする。
一方、ほとんどの銘柄は放ったらかしとなる。 その結果の値動きで、個別株投資を考えたところで、ほとんど意味をなさない。
そう、一般的な株式投資は難しくなっているというよりも、むなしくなっていると言わざるを得ない。
こう考えてくるにつけ、ほとんどの投資家は大した投資収益を上げていないのではと推測したくなる。
その点、われわれ長期投資家は楽なものである。 もちろん、これが投資の王道なのだから、当然でもある。