日経BP社から出版予定の「お金に働いてもらう長期投資で、幸せな人生を」を書き終えた。
残るは、「はじめに」と「終わりに」を仕上げるのと、図表の見直しだけ。
その後は、ゲラを2度ほどチェックして、今月後半には出版の運びとなる。
書名にあるように、長期投資についてと、その良さを、いろいろな角度からすごくやさしく書いた。
ただ、新著の3分の1ほどは、日本経済の現状と、その先に対し、かなり警告的な指摘に費やした。
それが、表題のゾンビ化、企業経営の弛緩、日本全体のユデガエル化、そしてガラガラポンである。
1990年代に入って、土地や株式投機に踊り狂ったバブルは崩壊し、銀行など金融機関は不良債権の山を抱え込んだ。
放置すると企業倒産が続出し、大量の失業が発生する、それはなんとしても避けなければということで、92年9月の総合経済対策となった。
銀行など金融機関に対し、バブル融資の当事者責任を問うのではなく、景気への悪影響を回避する方向で大量の予算をばら撒いた。
同時に日銀は公定歩合を大幅に引き下げ、95年9月からは超低金利政策に踏み込んだ。
それでもって、本来なら淘汰されていくべき金融機関や企業、そして政府系団体がゾンビ化して生き永らえた。
一方、家計は預貯金で毎年20~30兆円の利子収入を得ていたのを、ゼロ同然にまで減らされた。
家計から奪った利子収入は、銀行の純益確保にまわされた。 それだけ個人消費を落ち込ませてしまうが、そちらは無視の政策で今日に至っている。
ゼロ金利と大量の資金供給は、企業経営を弛緩させた。 それほど厳しい努力をせずとも、なんとかやっていけるとする、甘っちょろい経営を跋扈させた。
ゾンビ企業を大量に発生させ、弛緩経営の企業が跋扈しては、生産性は高まらないし、日本経済の活力は蘇るはずもない。
当然のことながら税収は伸び悩む。 その横で、予算は膨れ上がる一途となり、国の借金は1100兆円を超えた。
毎年32兆円~43兆円の国債を発行して財政赤字を埋めてきたが、さすがに金融機関は腹いっぱいとなってきた。
そこで、日銀に毎年80兆円の国債購入を要請してきた。 いまや日銀は国債発行残高の48%を保有するに至っている。
国債発行で辛うじて賄っている日本の国家財政は、まったくの綱渡り状態にある。
どこで綱が切れるか知れたものではない。 その時は、財政破たんもあり得る。
予算は編成できなくなるし、年金や公共サービスは停滞する。 つまり、ガラガラポンだ。
酷い社会混乱も覚悟しなくてはならないが、それもこれもユデガエル現象の結果だ。
最近の日本は、なにもかも国頼み、国まかせで自助の精神に欠け自助努力を怠っている人が多くなっている。
なんとかなるだろうの延長線上に、ユデガエル化が待っているわけだ。
かなりきついことを書いてきたが、国家財政も国債発行も、相当に厳しい状況になっている。
どうしたら良いのか? まさに、長期投資で自助の行動を思い切り高めておこう。 それが一番である。