10年ぐらいに間に起こりうるリスクは、すべて削ぎ落とす

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われわれ長期投資家の真骨頂は、どんな時でも冷静にかつ断固たる行動をするところにある。

そのために不可欠なのは、ここから10年ぐらいの間に起こりうるリスクを、徹底的に読み込むことである。

その上で、それらリスクを洗いざらい削ぎ落とした投資シナリオを組み立てるから、いつでもどっしりと構えていられる。

たとえば、ここから10年の間ともなると、米トランプ大統領がどうのこうのなんて、まったくの埒外である。

彼の任期は、せいぜいあと1年半、再任されたところで5年半だ。 10年の間にはいなくなっている。

でも、彼が巻き起こしている関税戦争とかの、世界経済に及ぼす影響は? やはり無視していいのか?

目先の影響は、すでに景気やマーケットに織り込まれている。 今日以降も、また時々刻々と織り込まれていく。

では、10年ぐらいの時間軸でなら、どう読むか? 歴史をひも解いて教訓を得るといい。

自国優先の保護主義など、長く続いたためしがない。 時間の経過とともに、誰にもプラスにならないことが各国で共通認識となっていく。

そして、どこかで関税引き下げやら自由貿易の重要さが訴えられだすともに、世界貿易は急回復の途に入っていく。

これは、長期投資家にとって、ゴキゲンな展開である。 つまり、その展開で大活躍するであろう企業の株式を、いまの間にたっぷりと買い仕込んでおけばいい。

そこで、リスク要因にもどろうか。 かりに、現在の関税戦争が長く続くとどうなるか? 状況が惨憺たるものになっていく。

米国は大恐慌で自国優先のモンロー主義を打ち出したが、それが世界恐慌につながっていき、そのまま第2次世界大戦に突入し、悲惨な結果を招いた。

いまでこそ、トランプ氏はじめポピュリスト政治屋たちによる目先の便益を訴える政策を、各国の国民は支持している。

そのうち、より過激なカリスマ指導者の登場を待つようになるのか、まともな政治家を求めるようになるのか、これは読みようがない。

ただ、はっきりしているのは、政治や社会の混乱が続き、マーケットは乱高下する。 大半の投資家は右往左往しよう。

そんな中、われわれの長期投資は人々の生活と、それを支える企業活動のみに焦点を当てて、そこから一歩も離れない。

経済活動やマーケットでの表面的な現象には振り回されることなく、人々の生活という大河の滔々たる流れに乗っていくのだ。

世界恐慌も、第2次世界大戦も、その時々で大きな投資リスクと騒がれた。 しかし、時間が経ってみると株価は、以前よりも高くなっている。

これが、長期投資の発想であり骨太さである。