寄付のための運用会社

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昨日は、オービス・インベストメンツという運用会社の日本代表と夜遅くまで盛り上がった。

南アフリカ出身のアラン・グレイは、米国の大手運用会社フィデリティで運用責任者を務めた後、1973年に自分の運用会社を立ち上げた。

目的は、アフリカの人たちに投資運用の機会を提供し、その成果を享受してもらうこと。

アフリカで大きな発展を遂げた後、世界にも目を向けて89年にオービス・インベストメンツ社を立ち上げた。

英国やバミューダに投資運用スタッフを置き、4兆円を大きく上まわる顧客資産を抱えるまでになった。

面白いのは、長期投資専門で営業は一切しない、顧客からの口コミで預かり運用資産が拡大すればいいという哲学を貫いている点。

また、社員は贅沢をせず利益はどんどん寄付にまわしている。 まるで、寄付するための運用会社といった存在である。

さわかみ投信とまったく同じ考え方? 実は、これが古き良き時代の運用会社の真骨頂ともいえる本来の姿である。

投資運用は誰のため? 一般生活者の財産づくりをお手伝いしつつも、その目的はより良い社会をつくっていくことだ。

当然のことながら、マーケットでの値ざや稼ぎに眼の色を変えるディーリングとは別次元。 ひたすら、企業を長期視野で応援していく。

投資運用で豊かになった人たちが、どんどん社会にお金をまわしていく。 それでもって、社会全体の富の増加につなげていこうとする。

オービスの日本代表お二人も、その長期投資哲学を静かに語り、どこにも金集め運用会社のガツガツ感やギラギラ感がない。

実に気持ちの良い会合であった。 聞けば、オービスも個人向けに長期運用サービスをお届けしたいとのこと。

彼らみたいなところは、長期投資仲間として大歓迎である。 運用能力は抜群だし、長期投資の哲学が確固としている。

アラン・グレイやわれわれのような本格派の長期投資家は、世界的にみて絶滅危惧種的な存在となっている。

しかし、そういった本物が日本で長期運用サービスを展開してくれるとなると、嬉しい話である。