荒れ模様が日常の風景に

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世界的にみて、気候の変動がずいぶんと荒れ模様となってきている。

その主因としては地球温暖化の影響が大きく、人々の生活水準が向上していってのもの。

人は一度生活水準を向上させると、もう絶対にといっていいほど元には戻れない。

身近な例を挙げると、われわれは毎日のようにお風呂に入る。 昔は銭湯を利用していたが、いまは内風呂が大半。

そのお風呂だが、温かいお湯に浸かったりシャワーを浴びるのが当たり前となっている。

いまのような冬の季節では、水風呂なんて考えられない。 贅沢というよりも、ごく普通の生活である。

その昔、われわれ日本人にとっての、水やお湯で身体を拭くだけだった生活には、もう戻れない。

ところが世界を見わたすと、お風呂やシャワーの設備がない生活や、川で身体を洗っているだけの人々が大多数である。

その人たちも、より豊かな生活を求めて経済成長に邁進している。

となると、毎日お湯を沸かす燃料消費だけでも、ものすごい量の増加が見込まれる。

これら、もう元に戻れない生活を維持する燃料一つとっても、地球温暖化は進んでいってしまう。

それが気象変動により大きなインパクトを与え続けていっているわけだ。

同様なことが、地政学リスクの分野でも、ますます悪れ模様となっていく傾向を見せはじめている。

週末にシリアのアサド大統領が反政府勢力の軍門に下って、ロシアに亡命した。

ウクライナ問題でかかりきりとなっているロシアが、シリア支援で手薄になっているのを突かれての一挙崩壊だ。

おそらく、今後ミヤンマーはじめアフリカ諸国などで、シリアに次ぐ動きが活発化してこよう。

どれもこれも部族対立や民族間の衝突などとなっているが、その根っこには食っていけない貧困化がある。

そう、世界中の至る所で貧困化による暴動や武力衝突が、ますます激化しだしているといえよう。

食えない子供たちを、腹一杯の食事で誘って、小さいうちから戦士に仕立てていっているのも、そのひとつだ。

このような世界的な貧困化の進展による地政学リスクの高まりに対し、われわれは鈍感に過ぎるようだ。

たしかに、われわれ先進国は経済力や軍事力を持っていて、あまり危機意識を身近に感じていない。

それが、株高だとか金融マーケットの来年の見通しとやらへの、きわめて平和的な(?)関心となっている。

以前はさして問題視してこなかった気象変動だが、最近は荒れ模様の度合いが強まっている。

同様に、地政学リスクが頻発するにつれ、世界経済への影響も軽視できなくなることも頭に入れておこう。