地域社会や経済の活性化に、さわかみグループは多面的にお手伝いをしている。
代表格のひとつが、今年で8年目となる徳島でのオペラ公演である。 12月14日と15日だ。
2日間のチケットは早い段階で完売し、来年か再来年には3日間の公演も検討しなければならない勢いである。
勢い? そう、当初はオペラなんてといっていた地元の人々が、「面白くなって、もう止められない」なのだ。
あるいは、「大人の文化祭だ」といっては、仲間集めにどんどん拍車がかかる展開となってきている。
仲間集め? 「オペラ、なんだか知らんが、面白いね」の輪が、どんどん広がっているのだ。
先ずは、合唱団に参加してウチのプロ達による1年間の特訓を受けている人達が先頭を走ってきた。
彼ら彼女らは、ちょっとおもしろそうだと始めた人達ばかりだが、もう完全にはまってしまっている。
プロ達と同じ舞台に上がるためには、身体をどう使って、遠くまで届く声を出せるようになるかの基本から叩き込まれる。
年の前半は月1、後半は月2のペースで、イタリア語の歌詞を覚えては演技しつつ歌えるまで、1年間の猛特訓だ。
それらの厳しい訓練を経て、晴れの舞台に上がり幕が降りた瞬間、全員が感極まって号泣という流れだ。
自分たちでもやれたという充実感や達成感は、何物にも代えがたいものがある。
それにはまってしまった人々が100名ほど。 その仲間が毎年増えていき、いずれは500名を超す勢いにある。
もう止められないのは合唱団だけではない。 オペラは総合芸術の華といわれるように、やたら多くの人々が参画する。
演奏や照明、舞台周りから衣装まで、200名は軽く超す人々の手を必要とする。
となると、費用はうなぎ登りとなって、チケット代だけでは4分の1もカバーできない。
どうするか? クラウドファンディングや賛助金を集めて賄うしかない。
その資金集めが、200万円、400万円、700万円と来て、今年は900万円を超した。
実は、お金を出してくれる人たちも、年を追うごとに横へ広がっていっているのだ。
8月の阿波踊り、12月のオペラが徳島の定番行事となってきて、自分たちでもって大きくしようという流れだ。
そういった勢いをどんどん高めていけば、想像もしていなかったようなことも夢ではなくなってくる。
それが、「俺たちで、徳島に本物のオペラハウスをつくってしまおう」ときた。
本格的なオペラハウスが日本にないのなら、その第1号を徳島でつくってやろうというわけだ。
人々が動き、面白がって自分たちのお金をつかう。 そういった、お金の出し癖をつけていけば、日本はいくらでも元気になる。