どうにも好きになれない言葉が、「投資は自己責任で」だ。
証券会社はじめ金融マン達は、ふたこと目には「自己責任で」を連発している。
金融庁など役所も、お決まりのように「投資は自己責任ですよ」と注意を喚起する。
そんなの、いちいち言われなくても分かっている。 投資で損したところで、お金は戻ってきゃしない。
かといって、誰かに文句を言ったところで、誰も保証してくれない。
せいぜい言えるのは、投資の時代だとか、運用立国だとかで、「やたら投資を煽ってくれるなよ」ぐらいだろう。
その点、証券はじめ金融マン達は商売だから、稼げるところで稼いでおきたい。
株価がすごく上がっていますよ、新NISA制度で新しい投資家がどんどん増えていますよ、とかでやたらと投資を煽る。
投資を煽りながらも、いざ株式市場が崩れ出した時などの責任回避もあって、自己責任ですよといっておく。
要するに、商売優先。 どこまで本気で日本に投資の文化を育てていこうと考えているのか。
マスコミなどメディアも、異口同音に新NISA制度だとかを騒ぎ立てて、人々の投資熱を煽ってくれる。
なのに、8月以降の大きな下げに遭遇するや、今度はマーケットの変調とかをガンガンと報道するばかり。
どれもこれも、われわれ本格派の長期投資家からすると、「いい気なもんだね」だ。
本当に資産運用立国を目指すなら、国を挙げて安定度や再現性の高い投資というものを、国民の間に広めていくべきであろう。
間違えても、証券など金融マン達のカネ儲けに「格好のテーマ」を提供するだけで終わってはいけない。
もちろん、テーマ追っかけの儲かった損したの投資を、やりたい人は好きにやればいい。
それと、国民の多くが願っている長期の資産づくりに資するような投資とは、まったく別ものである。
そのあたりの、本当の投資教育は欠かせない。 ところが、みなゴッチャ混ぜにしている。
儲かりそうな銘柄に飛びついていく投資と一緒くたにしていては、それこそリスクが大きくなって当然だろう。
こう書いてくると、日本に長期の資産づくりにふさわしい投資教育を、一体誰がやれるのだろう?
投資は自己責任でと放り出すのではなく、いかにマーケットとはつかず離れずで資産づくり投資を展開していくか。
その作業を、個人投資家と一緒になって考え、かつ実践していくパートナーが、どんどん出現してきてほしいものだ。
あるいは、これぞ資産づくり投資だというモデルを、世に示していってくれる投信ファンドが望まれる。