投信の日本売り?

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今年の1月から6月までに、個人マネーの海外投信買い越し額が、6.1兆円に上ったとのこと。

新NISA制度に乗った海外インデックスファンド買いが、大きな円売り要因となっているのは確かである。

個人投資家からすると、全世界株や米国の平均株価であるS&P500種のインデックスファンドへの分散投資がいいと教えられた。

ただ安心感の高い国際分散投資をしたいだけで、別に日本売りという意識はない。

それでも、個人マネーが国際分散投資に走ることで、6.1兆円もの日本売りとなっている。

この流れは要警戒である。 なにしろ、1012兆円もの個人マネーが預貯金に眠っている日本だ。

世界最大の眠れる資源が、そろりと動き出したわけで、この流れが勢いづくと大変なことになる。

全世界株や米国のS&P500種インデックスファンドなら、安心して財産づくりができる。

そういった社会認識が高まっていくと、そのまま日本売りと円安が大きな流れとなってしまう。

これまで、ごく自然体で預貯金に流れていっていた個人マネーの一角が、海外ファンド購入に向かう。

その動機が、新NISA制度に乗るのだ、国際分散投資だから安心だ、といったことで安心感が高い。

ということは、とんでもなく大きな日本売りの流れとなってしまうこともあり得る。

いつも書いているように、一国の通貨が安くなるということは、その国が貧しくなるということでもある。

政治全般も企業経営も安きに流れて、結果として国民の生活水準も下がっていく。

なんとも、おぞましい流れである。 とはいえ、ただ指をくわえて眺めているわけにはいかない。

こんな流れは、まだちょろちょろしている間に、なんとか断ち切りたいものだ。

方法は、いくらでもある。 たとえば、さわかみファンドは日本企業を応援するという旗印を鮮明にしてきている。

それでいて、間もなく25年となるが、年7.3%の成績を残している。 立派なものである。

きわめて安定度高く、個人の資産形成ニーズに応えてきているわけだ。

やみくもなインデックスファンド買いによる日本売りどころか、個別企業への選別投資で日本買いを進めてきた。

大きな違いだが、このあたりを愚直に語っていくことも、安直に流れがちな世論に対する長期投資家の責任である。

先週も書いたが、時の審判に耐える仕事をやっていく、われわれ本格派の長期投資家の本領発揮である。