NY市場も東京株式市場も新高値をつけ、上値追いに勢いがついてきたかのようである。
まさに、すごいねの一言。 マーケットに勢いがつくと、次々と買いが集まってくる。
それも、値上がりの激しい銘柄をめがけて続々と新規の買いが群がってくる。
たまたま、そういった銘柄の値動きは、日経平均など平均株価への寄与率が高い。
それで、日経平均などがやたらと派手に上昇することになる。
そのあたりは横へ置いて、マスコミなどは株高だ新高値だと、やたら大騒ぎしてくれる。
また、出遅れていた日本株に世界が注目しているとかの報道も目立ってきている。
それらに対し、こちらはただただ「すごいな」と眺めるだけ。
かといって、大きな読みに変更はない。 すなわち、カネ余りバブル高は、いずれ崩れる。
また、先進国中心にゼロ金利や空前の資金供給で膨らませてきた、張りぼての経済も限界だろうという読みだ。
現に、世界的なインフレや、それを抑えようとする金利高も、実体経済から差し向けられた刃である。
えっ、インフレは鎮静化しつつある? したがって、金利も低下傾向に入っていくのでは?
金融マーケットや市場関係者たちは、そう期待して買い上がっているのだろうが、甘いと思うよ。
この20年ほど、とりわけリーマンショック以降、世界各地での経済的な歪みはどんどん顕著となってきた。
たとえば、一部の人々への富の過度な集中に対し、世界的に多数国民の低所得化や貧困化が進んできた。
それが、世界各地での地政学リスクを高め、根強いインフレ要因となっている。
たとえば米国でも、低所得層中心に賃上げ要求は強く、それがコストプッシュ・インフレにつながっている。
また、インフレの鎮静化といっても、上昇率が落ち着いてきただけのこと。
元の価格水準にまで戻ることはなく、ここまでに上がってきた価格水準への対応は待ったなしだ。
企業経営でいうと、エネルギー価格や原材料費そして人件費の上昇は、確実に収益を圧迫する。
それらが業績動向に反映されてくれば、株価も下方修正は避けようがない。
株価全般が大きく下がれば、資産勘定の蒸発に対し、負債勘定はまるまる残るという資産デフレが発生する。
バブル高が大きければ大きいほど、資産デフレも大きくなり、あり余っていたはずのマネーは一挙に収縮する。
それが経済全般の信用収縮につながっていき、市場での金利高を煽る。
そうなると、借金まみれの国家財政や日銀も窮地に追い込まれる。
どれもこれも、これまでの人為的な歪みの積み上げに対して経済合理性が働くと、そうなるだけのことである。