時の審判に耐えられるか

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資産運用立国、新NISA制度、年金不安などを背景に、個人の資産づくり熱は高まるばかり。

世の流れとしては結構なことであり、この流れをさらにさらに太く大きくしていきたものだ。

ただ、不安要素は山ほど出てきている。 ひとつ間違えると、「もう投資は、こりごりだ」に逆戻りしかねない。

不安要因の一番バッターは、証券はじめ金融ビジネス全般の跳ね上がりぶりだ。

金融ビジネスは、あらゆる収益機会をとらえて、できるだけ稼いでしまうが勝ちとする。

したがって、販売手数料など稼げる時には、後のことなど考慮せず、しゃにむに稼いでしまえとなる。

どこかでマーケットが暴落したとしても、その時はその時で次の儲けチャンスを探すのみ。

たとえ担当してきた投資家顧客が大損しても、投資は自己責任ですよで済まされる。

二番バッターは、マスコミである。 彼らはいま起こっている出来事を報道するのが仕事。

だから、株高だ、史上最高値更新だ、大儲けした人がいるとかで、ガンガンに投資家を煽る。

それでもって、購読者を増やし、視聴率を上げれば、会社は儲かるし給料やボーナスも増える。

三番バッターは、金融商品の販売担当者や金融ビジネスに属しているFP達だろう。

彼ら彼女らは、いま売りやすい投資商品を勧めがちである。 それが自分の成績につながるのだから。

やっかいなことに彼ら彼女らは、そこそこ投資の勉強をしているから、なんだかだと説得力がある。

最後に、四番バッターとして、現行の「投資しようブーム」に乗った投資家たちだ。

これだけ、周りから新NISAだ、株価最高値更新だと煽られると、自分も買わなければとなってしまう。

とりわけ日本人は、みなから置いてきぼりを食らうことを嫌う。 だから、どうしてもここで買わなくてはとなる。

これら、4者とも今のマーケットの流れに沿ったものばかり。 この流れが永久に続いてくれれば良し。

この先、世界の景気やインフレ動向、そして金利がどうなるかなどに関しては、まったくの無頓着である。

つまり、資産づくりの投資という本来目的からすると、不安だらけというしかない。

そう、資産づくり投資の肝は、時間の経過に耐えられるかどうかだ。

これを、時の審判という。 5年はおろか、10年20年たっても着々と資産を増殖し続けていれば良し。

どこかで大きなガラ(マーケットの大暴落など)を食らって、元も子もなくなっては話にならない。

資産運用ビジネスに携わる人たちは、時の審判に耐えられ仕事を片時も忘れないことだ。