7月14日14時から、みなさんオンライン参加で、生マグロ祭りを開催します。
海から揚がったばかりの生マグロを解体しつつ、いろいろな説明を楽しんでください。
アクセスは、さわかみ一般財団のHP上に、生マグロ祭りのURLコードから。
そこで、「なんで、また生マグロなの?」なんだが、すごく大事な取り組みだと強調したい。
日本人にとって、刺身といえばマグロの赤身やトロというほどに、身近な存在となっている。
その刺身だが、マグロに限らずスーパーで売っているパックを、一度たしかめてもらいたい。
表側には、魚種はもちろん産地や値段の表示が貼り付けられている。
問題は、その裏面であって、増粘剤やマーガリンなど食品添加物が、ずらずらと表記されているではないか。
食品衛生法の表示基準に沿っての表記だが、「生の刺身のはずなのに、こんなにも」と添加物の多さに驚いてしまう。
どうして、そうなるのかというと、魚を捕獲する漁猟法によってのこと。
日本で一般化している漁猟は巻き網漁といって、2隻の漁船が巨大な網で魚群を取り巻いて、一気にすくいあげてしまうもの。
この漁法だと、魚群探知機で見つけた魚の集団を一網打尽にするから、きわめて効率がいい。
しかし、稚魚を含めすべての魚を巨大な網で絡めとってしまうので、漁獲資源の枯渇化に直結する。
マグロ漁を含め、漁業の永続的かつ持続的な発展にはマイナスなので、禁止している国々も多い。
さらに問題は、巨大な網で大量の魚をすくい上げるから、大半の魚が圧死してしまう。
魚でも動物でも、命をいただいてすぐ血抜きをするといいが、しばらくおくと血が体内をまわってしまう。
すると、臭みが出てきて、もう食するに値しなくなる。 色目も悪くなる。
そこで登場するのが、様々な食品添加物であって、臭いを消したり刺身などに照りをつけてやるわけだ。
もちろん、食品安全法に沿った添加物だから、人体への害はないかもしれない。
しかし、真に生の刺身ではない、それは疑いようがない。 残念ながら、それが日本の食卓の現実である。
その点、那智勝浦港では昭和の早い頃から、巻き網漁の漁船は入港させず、はえ縄漁にこだわってきた。
はえ縄漁は大きな針でマグロを一本釣りする漁法で、成魚のみを釣り上げる。
釣り上げてすぐ血抜きをするので、臭みはまわらない。 そして、そのまま冷蔵するから新鮮そのもの。
ただ、漁獲効率は悪い。 そこで、那智勝浦港はどんどん寂れていき、後継者難にも苦しんでいる。
さわかみ財団では、漁獲資源を守り、はえ縄漁にこだわる那智勝浦港を応援するため、生マグロ直販クラブを立ち上げて奮闘している。
それは、日本の食卓から正真正銘の刺身が消えてなくならないためでもある。