いつまで踊り続けるのだろう

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IMFが今年の米国やEUはじめ世界経済の成長見通しを下方修正してきた。

景気後退のサインであり、企業収益は圧迫されよう。 利益予想の下方修正が、これから続出しよう。

また、米国の10年もの長期金利が2.94%をつけてきた。 これから先の利上げを考慮すると、要警戒である。

エネルギーや資源それに穀物価格は、相変わらず高値を追う勢いにある。

これらのどれもが、世界の株価ならびに債券価格にとってマイナス要因となる。

しかるに、NY市場を筆頭に世界の株価はいまだに健闘している。 債券市場もまだまだ安泰の様相を示している。

株価も債券も、もういつ崩れに入ってもおかしくはないが、カネ余りの余波が続いているようだ。

われわれ長期投資家からすれば、こんなバブル高からは一刻も早く離れるに如かず。

ところが、年金運用はじめ世界の機関投資家は、まだまだバブル高にしがみついていたいようだ。

しばしば機関投資家は音楽が鳴っている間は、ダンスを止められないと言われる。

彼らは、毎年さらには四半期毎の成績を追いかけるというか、成績評価に追いまくられている。

なんとしても良い成績を出し続けたいとするプレッシャーからは逃れられない。

それも、平均株価などインデックスとの相対的な成績評価だ。

となると、株価全般が大崩れに入る寸前までは、買いポジションを維持し続けなければならない。

そしてそのまま、株価全般の棒下げに付き合うことになる。 酷い成績となるが、株価全般が大きく下げたから仕方ないといえばいい。

そんなお粗末な運用をしていて、投資家顧客への運用責任は果たせるのかと、首を傾げたくなる。

なのに、世界の機関投資家のほとんどは、毎年や四半期ごとの成績にこだわった運用を止められない。

音楽が鳴っているから、彼らはダンスを踊り続けるしかないのだ。 最後の最後まで。

実に、おかしな話である。 だが、これが年金などの運用現場の実態である。

われわれの大事な年金も、そういったお粗末な運用に供されているわけだ。

これが世界の機関投資家運用の現実である。 ダンスを止められないまま、金融緩和バブルの大崩れに飲み込まれていくのだろう。

なんとかならないものか? 世界の機関投資家運用が毎年の成績を追いかける巨大マシーンとなってしまっている。

このままいくと、どこかで惨憺たる状態に陥るのは避けられない。 そこで初めて、猛反省を迫られよう。