理念、思い、世の中へ訴え

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クラウドファンディングが定着してきた。 これはと思う事業アイデアに、有志が資金を提供する仕組みだ。

資金を調達するのは、個人でもお店でも仲間サークルでも、誰でもいい。

やろうとする事業に向けて世の中の共感が集まれば、いくらでも資金は調達できる。

たとえば、さわかみオペラ財団が徳島オペラで昨年クラウドファンディングを実施した。

毎年12月のオペラを楽しみにしている方々が、オペラには感動したが舞台が寂しかったねという声が高まってきた。

それは仕方がない。 できるだけ多くの人々に楽しんでもらおうと、チケット代は4000円に抑えている。

そのチケット代では、歌手や演奏家たちへの支払いなどだけでも足らない。

とてもではないが、舞台をつくったり、照明や弦楽器などの演奏を入れる資金的な余裕はない。

そこで、クラウドファンディングを主として、毎年のオペラを楽しんでもらっている方々に向けて実施したわけだ。

チケット代は高めません。 しかし、クラウドファンディングに参加してもらえれば、皆さんでもってオペラを一層すばらしいものにできますよ。

そう訴えかけて、徳島を中心に308万円が集まった。 手数料を引いた残りを舞台、照明、演奏の充実に向けることができた。

おかげで、昨年の12月には主催しているこちらも、びっくりするほど立派なオペラ舞台となった。

お金を出していただいた方々も、自分たちの5000円や1万円で、こんなにも素晴らしいオペラをつくることができるのかと、大満足だった。

すこしずつでも、個人個人がお金を出しあうことで、想像をはるかに超えた満足を得られた。

まさに、お金をつかう価値を実感したわけだ。 それも、モノではなく舞台や照明そして演奏といった、その場から消えていく感動に対して、お金をつかう満足感だ。

このような、モノではない満足感を求めて、お金をつかう文化を高めていくことが、これからの日本にとって大事なテーマとなっていく。

その時、返礼品などをあまり前面に出したくはない。 それでは、モノに向かってお金をつかう次元から一歩も出ない。

なんとしても、理念や思い、意義といった方向で、お金がどんどん動く文化をつくっていきたいものだ。

それこそが、成熟経済の発展拡大の図式となっていくのだ。