インフレという砲弾

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ウクライナの人々は、ロシア軍の侵攻によって生活をズタズタにされ、命の危険にも曝されている。

こんな理不尽なことが現代社会で発生して良いのかという憤りがふつふつと湧いてくる。

一刻も早くロシア軍は撤退し、ウクライナの人々に平穏な生活が戻ってくれるのを願うのみだ。

そのためにも、西側の経済制裁が効いてくれて、ロシア国内に厭戦の機運が高まってもらいたいものだ。

そしてプーチン大統領が失脚し、ロシアという国が強権政治から民主的な政治体制への移行を期待したい。

それとは別に、世界経済のあちこちでインフレという砲弾が炸裂しはじめていることには要注意である。

こちらは、まだ噴煙が立ちだしてきたという段階だが、いずれは世界中の人々の生活を戦火に巻き込む恐れがある。

先ずはエネルギーだが、ロシアからの天然ガス供給がこの先どうなろうと、原油などの価格は高値で推移しよう。

その理由は、こうだ。 昨今、脱炭素で再生可能エネルギーへのシフトが先進国中心に唱えられてきている。

とはいえ、いまだ世界は化石燃料に頼っている現実を、今回はっきりと認識させられた。

ロシアからの天然ガス供給がストップすることで、ブレントやWTIなどの原油価格相場が高騰した。

それは、地球温暖化防止で先進国中心に化石燃料分野への投資制限や中止を煽ってきた現実の裏返しである。

ドイツなど、あれほど脱原発を唱えてきた国でも、いまだ国内の石炭火力や、ロシアからのガス供給への依存度が高いことを曝け出した。

この問題は、温暖化阻止とエネルギー確保との確執となって、ずっと続くことになろう。

つまり、エネルギー価格の高値推移という構造的なインフレ要因として、人々の生活を圧迫するのだ。

小麦など食料価格の高騰は季節要因も重なってくる。 戦火に曝されているウクライナでは、今年の作付けに支障をきたしかねない。

そうなると、大輸出国であるウクライナの小麦は、今年ではなく来年の収穫まで供給不足が続くことになる。

このように、供給サイドにネックが生じると、そう簡単には解消できない、それが現実問題となってくる。

そういったコストプッシュ型のインフレという砲弾に、われわれの生活は脅かされるのを覚悟しておこう。