投資家の間で気迷いが生じてくると、あれこれとマイナス要因を詮索しはじめる。
多くの場合は、上昇相場が爛熟してきたころからの気迷いで、その様子を疑心暗鬼が走るという。
相場の上昇エネルギーはまだ強い。 そう思いながらも、どこかで、なにかの加減で売りが出てきたらヤバいなと考えはじめる。
そうなってくると、ほんのちょっとしたことにでも、「もしかしたら」と不安を隠せなくなる。
本音は、まだまだ買いで勝負したいと思っている。 しかし、万が一のことを考えようとする意識が、知らず知らずに出てきてしまうのだ。
疑心暗鬼が投資家の間で走り回るようになると、買いの手が弱くなっていき、さしもの上昇相場もぐらッと傾く。
もうそうなると疑心暗鬼が確信となり、「やはり思っていた通りだ。売らなければ」という考えに一転する。
いま世界のマーケットを見渡すに、疑心暗鬼がかなり活発に走り回りだしている。
その象徴が、折にふれての株式市場の急落である。 最近、その頻度が上がってきている。
そうはいうものの、空前のカネ余りを背にした投資家の「まだまだ、いけるぞ」感には、根強いものがある。
彼らにとっては、「これだけのカネ余り、どこへマネーをもって行くのだ」というのが、最大の自己説得材料となっている。
金融マーケットの他に、これといって持っていく場がない。 だから、マネーはマーケットに滞留するしかない。
したがって、まだまだ相場は崩れっこないとする考え方だ。 現に、債券市場はまだビクともしていない。
とはいえ、そんな強気の投資家の間でも、疑心暗鬼がそれなりに高まってきているのも否定はできまい。
それで、米FRBのパウエル議長が次にどういった発言するかに、みな神経をとがらせている。
こういった気迷いが長く続けば続くほど、まだまだ上を買っていくぞとするエネルギーが弱まっていく。
そして、盛んに走り回ていた疑心暗鬼が、「この相場、そろそろ天井だな」といった考えに変わっていくもの。
そこから先は、もうどこで急落に入っていっても、おかしくない状態となっていく。
まだ秒読みの段階に入ってはいないが、もうそう遠くないのだろう。
ここからは、いつのもの繰り返しとなるが、金融緩和バブルが崩れるといっても、慌てることはない。
金利をゼロにし、資金を大量に供給すればでやってきた、張りぼての経済がバブルマーケットと一緒に吹き飛ぶだけのこと。
大混乱は避けられないが、その後に健全な経済や金融が待っているのだ。 楽しみにしよう。