一週間前までのインフレ台頭の声も、ここへきてウクライナ問題にかき消された感がある。
とはいえ、ウクライナ問題の進展によっては、エネルギー価格や食糧価格の高騰は避けられまい。
すると、マスコミは地政学的リスクとインフレとを、ダブルで大騒ぎすることにもなろう。
どちらにしても、株価などには嫌な展開である。 現に、NY市場も日本株市場も、ストーンストーンと下げている。
まだ大暴落には至っていないが、バブルに乗って上値を買い上がってきたマネーが、これから苦しくなる。
それ行けどんどんで買い上がってきてものの、上値の重さと自分たちの買いの重さの両方が、ズシッとのしかかってくるのだ。
そのまま株価全般がズルズルと下がっていくと、どこかで投資家全般は見切り売りに転じる判断を迫られよう。
見切り売り? そう、まだまだカネ余り株高は続くと期待して買い上がってきた投資家たちが、もう上値は望めないと判断する。
そして、一転して売り逃げに走り出す。 一部でも、この動きが出てくれば、売りは株式市場全般に波及する。
そこから先は、本格的な暴落相場となっていく。 いよいよ、金融緩和バブルの崩壊だ。
ところが、今回のバブル、そう単純ではないようだ。 債券市場がビクともしていないのだ。
それどころか、株価の下落基調をみて、リスク回避とかで米国債にマネーが逃避している。
カネ余りバブルは株式市場だけでなく、債券市場にも及んでいる。 それも、37年越しで一本調子の上昇相場を演じているのだ。
その債券市場がビクともしていないというのは、金融緩和バブルの崩壊はまだまだ先ということにもなる。
逆いうと、この先どこかで債券市場がドサッと崩れたりしたときは、もう完全なるバブル崩壊となる。
もちろん、長期金利は急上昇し、金融マーケットのみならず経済の現場にも、大きなしわ寄せが行く。
われわれ本格派の長期投資家からすると、ようやくバブルが崩れに入ってくれたか、そのぐらいの受け取り方だ。
一方、投資家全般や経済の現場は大混乱に陥ろう。 まさに、いまは嵐の前の重苦しい静けさといったところだろう。