ウクライナ東部の親ロシア地域の独立を、ロシアは国家として認める大統領令を出した。
国家としての国際承認は、どこかの主権国家が一国でも承認すると、それで成立するとされている。
だからといって、そう簡単に世界が承認ということにはならないだろう。
多くの国が対外公館を設置しないと、その新しい国の外交もままならないのだから。
そんな中、ロシア軍はウクライナの親ロシア地域に進出した。 プーチン大統領が派兵命令を出したのだ。
これに対し、西側はどういった対応を取るのか、きわめて微妙な状況となってきた。
クリミア半島を併合したときと同じように、経済制裁だけで終わってしまうのか?
その場合、ずっと展開を見つめている他の強権国家にとっては、いろいろと暴れやすくなってくる。
現に、経済制裁だけでは致命的な多劇とならない。 ロシヤしかり、北朝鮮しかり、イランもそうだ。
一方、NATOはじめ米軍が対抗措置を講じると、戦闘拡大といった事態になってしまう。
ウクライナでの戦闘が熱くなったり、泥沼に入っていったりすると、世界の他の地域もきな臭くなる。
まさかとは思うが、中国軍が台湾はじめどこかで動き出すことも考え得る。
米軍を中心に西側は、二正面あるいは多正面での軍事対応を迫られることになり、国内世論対策も迫られよう。
そこまで考えるのは大げさすぎるとしたら、一体どんな解決方法があるのだろう?
地政学的な問題が表面化してくると、いつも相当にややこしくなる。
ともあれ、そのあたりはちょっと横へ置いて、事態の展開を見守るしかない。
その横で、経済やマーケットにどのような影響が及んでくるかは考えることができよう。
まず、ロシアやウクライナ東部への経済制裁は、世界的なサプライチエーンの分断に拍車をかける。
したがって、コストプッシュ型のインフレを加速させる要因となる。
次に、ウクライナの混乱が続くと、世界有数の規模を誇る小麦などの輸出が支障をきたす。
こちらは、小麦などの食糧価格の高騰を超えて、調達難から新たなる地政学的リスクともなり得る。
どれもこれも、インフレや金利上昇を側面支援する材料となっていくのだろう。
つまりは、いずれ来る金融緩和バブル崩壊の有力な引き金となっていく。
まあ、われわれ本格派の長期投資家は慌てず騒がずで、どっしりと構えて対処していこう。