近づいている金融緩和バブルの崩壊も、インフレ到来も、経済面からだけでは捉えきれなくなってきたようだ。
ロシア軍のウクライナ侵攻に直面しているが、そのウクライナは希望していたものの、まだNATO加盟国ではない。
それで、NATO軍も米軍も戦闘地域がウクライナ国内である限り、なんらの対応もできない。
プーチン大統領による理不尽な大国の横暴だと、いくら非難しても軍事行動には至れない。
そのあたりを読み込んで、ロシア軍はウクライナで暴れまくっているわけだ。
それに対し、国際社会は経済制裁を課すしかない。 その一環で、ロシアの主要銀行をSWIFTから排除した。
国際的な資金決済機関であるSWIFTが利用できなくなると、ロシアの輸出入は大きく制限される。
当然のことながら、ロシア国民は海外製品の入手難と物価高騰に苦しむ。
ロシア国内の経済活動は大きくダウンし、インフレが国民生活を圧迫することになろう。
一方、資源大国であるロシアからの原油や天然ガスの供給が大幅に削減されれば、西側諸国にも大きな痛手となる。
ロシアからの天然ガス供給に対する依存度が高いドイツ・イタリアはじめヨーロッパ各国のダメージも計り知れない。
また、ウクライナからの小麦に頼る度合いの強い中東諸国も、食糧の入手難と価格高騰に悩まされよう。
つまり、ここへきて地政学的リスクが一気に噴き出てきた感がある。
地政学的リスクには国際政治や国家間の利害対立が絡んでくるので、ややこしい展開となっていくのは避けられない。
冒頭に書いた、金融緩和バブルの崩壊やインフレ到来といった、経済的な側面が強調される展開とは違う。
経済的な側面だけなら、経済合理性や自然の摂理からの読みや判断もしやすい。
ところが、国際政治や国家間の利害対立が絡んでくると、一筋縄ではいかなくなる。
そうはいうものの、行き着く先と方向は変わらない。 つまり、インフレ到来と金利上昇だ。
ただ、その度合いが問題である。 経済合理性を超えたところまで行ってしまう可能性が高まってきたようだ。
下手したら、コロナ禍をはるかに上回る打撃を世界経済に与えかねず、地政学的なリスクの世界的な拡散もあり得る。
それで、表題に「やっかいなことになってきたな!」と書いたわけだ。
ますますをもって、人々の生活をベースとした本格的な長期投資に徹しておくべしとなる。