またぞろ、すごい規模の財政バラマキ政策が策定された。 コロナ禍の景気対策を最優先ということだが、本当にこのままで良いのだろうか。
先ずは対策予算の規模ありきで、「こんなにも国はやっているのだ」という政治ジェスチャーの匂いがプンプンしてくる。
即座に出てくる疑問は、それで果たして日本経済の力強い復活につながっていくのかだ。
この30年間に繰り返された巨額の対策予算は、計上された額を総計すると600兆円近い。
それを反映するかのように、国の借金は1000兆円以上も積み上がった。
それなのに、日本経済は長期低迷を続けたままだ。 アベノミクスとか、いろいろ打ち出されたが、さしたる成果は見られない。
デフレ脱却を優先したというが、実際はゾンビ企業を大量に存続させただけ。 そういった指摘も、前々から出ている。
笑ってしまうのは、この30年間に個人金融資産における現金・預貯金勘定が、590兆円も増えていることだ。(日銀統計)
本来なら、政府の景気対策予算は経済の現場でグルグル回って、経済活動の拡大再生産につながっていくはずのもの。
それが経済成長つながって、国民の所得増加と金融資産の積み上がりとなっていくという図式だ。
ところが、この30年間をみるに、景気対策予算は経済の現場を素通りして、家計の預貯金に収まっていっただけとさえ言えるのだ。
なんのことはない、バラマキ政策はひとえに選挙民の指示を得るためのものだった。
その間、国の財政はボロボロに悪化していき、国の借金は1200兆円を超えるに至った。
どうして、国民に向かって、たっぷりと抱えているお金をどんどんつかってもらう政策を打ち出せないのだろう?
経済活動なんて、国民の消費行動から動きはじめる。 つまり、国民がお金をつかうことで経済は動き出すのだ。
大事なのは、やたらと予算をバラ撒くのではなく、国民が意識的にお金をつかうように仕向けることだ。
成熟経済の日本では、お金を抱え込んではいけない、意識してつかおう。 それが経済成長、ひいては国民所得の増加につながっていく。
この大キャンペーンを、これでもかこれでもかと繰り返すことだ。 明治以来の貯蓄信仰を、一度ぶっ潰すのだ。
場合によっては、「預貯金などに、お金を寝かせたままにしておくのは悪だ」とまでいって、国民の意識改革を迫ってもいい。
その結果として、個人の預貯金残高969兆円の10%でも経済の現場に流れ込んでくれば、しめたもの。
96兆円もの資金だ、どれだけ日本経済は活況となるのか、想像を待たないだろう。