金融所得課税 vs 長期投資

Browse By

一時は日本株市場を揺さぶった金融所得課税の強化案だが、岸田新首相の所信表明では明示されなかった。

それに安堵したのか、株価全般は大きく反発している。 多くの投資家からすれば、ホッとしたことだろう。

一般の投資家にとっては、キャピタルゲイン課税の税率引き上げなど、まったくをもって嬉しくない話。

また、株式市場や市場関係者にも、投資意欲を削ぐということで、とうてい歓迎はできない政策と映る。

一方、われわれ長期投資家からすると、それほど大きな足かせ材料とはならない。

ドッタンバッタンと売買を繰り返す一般的な投資では、売却益課税はその都度かかってくる。

つまり、税支払いの重みがどんどん嵩んでくるわけだ。  これは、さすがにきつい。

その点、のんびりと長期スタンスで投資収益の積み上がりを期待するなら、そもそもあまり売買しない。

たとえば、5年とか10年で2倍になればいいやぐらいの気持ちでいると、その間の税支払いも1回ぐらいのもの。

こんな感じだ。 5年で2倍なら、100が200になって、ネットの投資収益は100である。

そのうち、現行なら20%のキャピタルゲイン税で20を支払って、手取りの利益は80となる。

かりに、キャピタルゲイン税が30%に引き上げられたとしても、税の支払いは30で手元に70が残る。

どうだろう? 長期投資家にとっては、さほど大きな負担ではないと思わないか。

5年後の資産は税金を支払った上で、100が170になるのだ。 年率にすると、年11.3%の財産づくりとなってくれる。

現行の20%税率だと、年率12.5%の財産づくりになる。 それと比べると、年11.3%は少し下がるが、そう大きな差異ではない。

そうなのだ、短期の売買を重ねる投資では、支払う手数料や税金などのコストはかさむ。

その点、長期投資ではあまり大きな負担と感じなくて済むのが、ありがたい。