債券市場が牙をむくとき

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8月5日に、株式投資における地相場について書いた。 地相場? そう、上昇相場の起点ともなる相場水準のことだ。

上昇相場が続くと、しばらく前までは相当な高値と思っていた株価水準が、いつの間にかベースとなってしまう。

そして、その水準を起点として次なる上昇相場が立ち上がっていくことになる。

米国株でいうと、ダウ平均株価はずっと目指していた3万ドルの大台を、ようやく突破した。

ようやく3万ドルを達成したと、投資家や市場関係者たちが喜んでいる間もなく、株価はじり高を続けている。

そして、いまやNYダウ平均株価は3万ドルが地相場となって、3万5千ドルに乗せてきているではないか。

これが、株式投資における地相場というものである。 バブル高しているようなときには、地相場はどんどん切り上がっていく。

それをベースとして、投資家や市場関係者たちは株価全般のさらなる上値を目指すことになる。

一方、債券投資においては地相場なんてものはない。 長期金利がゼロになる水準が債券価格の天井となる。

債券は金利裁定で動く投資商品の最たるもので、金利動向とは切っても切れない関係にある。

金利裁定? 金利が上がれば反比例して債券価格は下がり、逆に金利が下がれば債券価格は上がる。

そもそも経済活動は、金利があってはじめて動くもの。 ということは、金利ゼロすなわち経済活動の停止を意味する。

経済活動が停止状態に陥れば、債券価格だってそこからはもう上がりようがない。

そう、長期金利の水準がゼロ近辺をもって債券価格の天井ということになる。 株式相場のように地相場が切り上がるなんてことはない。

ところがだ、昨今はマイナス金利なんて状態に突入し、マイナス金利の国債に1800兆円を超す資金が流れ込んでいるのだ。

当然のことながら、債券価格は天井圏を突き抜けた上値追いとなっている。 それを喜んではいられない。

満期まで保有したところで、絶対にプラスとならない、おそろしく危険な国債投資に向かって年金などの資金が流れ込んでいるのだ。

債券バブルもここに至れりといった状態が、もう1年以上も続いているなんて、まさに信じられないこと。

また、信用力に劣る発行体によるジャンク債の起債も、ずっと高水準を続けている。

もはや、いつ債券市場が牙をむいてもおかしくない。 高値追いを続けてきた債券価格の一角でも崩れに入るや、全面売りの地獄となっていこう。

もうそうなると、債券投資家は逃げようがない。 とんでもない修羅場となるが、われわれ長期投資家には無縁のこと。