この長期投資家日記でずっと書いてきたように、世界はじゃぶじゃぶのカネ漬けとなっている。
昨日も史上最高値を更新したNY株式市場が、その象徴である。 天井知らずで最高値を更新し続けている。
どんどん上値を追うほどのファンダメンタルズ改善というわけではない。 むしろ、買われすぎである。
それでも、行き場を求めたマネーが次から次へと流れ込んでくるから、どうしても上値追いは続いてしまう。
株式市場だけではない。 金融マーケット全般とか不動産などの分野はカネあまりの恩恵に浸りまくっている。
阿波踊りの「踊らな、ソンソン(損損)」ではないが、バブル買いにブレーキがかからない。
それどころか、昨日も米国で1兆ドルのインフラ投資法案が上院を通過したように、資金のバラマキはさらに上乗せされる方向にあるのだ。
まさに、じゃぶじゃぶのカネ漬け状態が金融マーケット全般や経済の現場に覆いかぶさってきているのだ。
その行く着く先は? 信じられないかもしれないが、すさまじいまでのカネあまりが、マネー不足に一転しよう。
世界経済が健全な拡大発展の途に就き、人々の所得が増え失業も激減する最善の展開となっても、まだカネあまりは解消されない。
先進国を中心にして、それほど大量に資金をばら撒いてきているのだ。
ところが、このカネあまりバブルがはじけるや、とんでもない規模の資産デフレが世界を覆うことになる。
どういうことか? 世界の債券市場や株式市場で膨れ上がってきた資産勘定が、それこそシャボン玉のように消えてなくなる。
その寸前までご機嫌で買い上がってきた資産が、一転した価格急落に見舞われるのだ。
それが巨額の投資損失を招くだけではない。 借り方にあたる負債勘定は、まるまる残る。
そのギャップ、つまり資産デフレが世界の金融マーケットのみならず世界経済にも重くのしかかってくる。
資産デフレが、どれほど巨額となるのかは、90年代に入っての日本のバブル崩壊が参考になる。
土地や株価の下落で失った資産価値は、各研究機関から1200兆円~1600兆円と推定された。
つまり、日本経済の2.2倍から3倍の規模の富が吹き飛んだ一方で、負債勘定はまるまる残ったわけだ。
現行の世界的なカネあまりバブルが破裂するや、天文学的な金額の資産デフレ発生は免れまい。
世界中でだぶついていたマネーは一気に収縮して、金利は急騰しよう。 その津波を、どう乗り切るのか?
今のうちから、長期の株式投資に徹しておくことだ。 それが、一番安全な財産の置き場所となる。