株価などには、地相場というものがある。 株価は上がったり下がったりするもの。
大きく買われれば、どこかで売られて下がる。 相場なんて、その繰り返しである。
ただ、長期的にみると企業の利益の伸びに応じて、株価の上下変動の下値は徐々に切り上がっていく。
それが、株価の長期上昇トレンドである。 利益成長のスピードが速い企業ほど、株価の上昇トレンドも急な右肩上がりとなる。
そんな中、株価全般が大きく上昇した後も、そのまま高値を保っていると、いつしかその株価水準が高いと思わなくなる。
通常なら、買われたら売られて下がる展開となるが、相場全般が高値水準に定着してしまう。
この状態が長く続くと、投資家の間で「高く買われすぎだ、そのうち売られて下がる」という思惑が薄れていく。
逆に、その高値水準が妥当だとする投資判断が一般化していく。 これを、地相場という。
そういった地相場をベースとして、次なる上昇相場への思惑が働き始める。
ひと相場前までは高値と思われていた株価水準が、いまや新しい相場の出発点となるのだ。
この地相場なるものと、カネあまりバブル株高とを重ね合わすと、一体どうなるのか?
次から次へと新規供給されるマネーが買い上げて株価をどんどん押し上げていく。 そして、それが地相場となっていく。
投資家からすると、まだまだ上がるだろうとする思惑のベースが、どんどん上がっていくわけだ。
これが、現在進行形の世界的なカネあまりバブル株高の、カラクリ構造である。
カラクリ? そう、中身はほとんどない。 されど、地相場がどんどん切り上がってきているから、投資家からすると高値警戒意識はとんと感じられない。
それどころか、資金は相変わらず大量供給されているから、新たなる上昇相場を期待して買い上がる。
こういった展開となると、つける薬はない。 まさに、怖いもの知らずのカネあまりバブル高である。
なにしろ中央銀行が胴元になって、買い上げ資金をいくらでも供給してくれているのだ。
そこへ地相場の切り上がりで、投資家全般の高値警戒感が高まる前に、「まだ上がるだろう」の思惑が働いてしまう。
さてさて、この展開どこまで続くのだろうか? まったく、読みようがない。
はっきりしているのは、米FRBが政策金利を引き上げる時期を当初の2023年から2022年に早めようとしていることだ。
その前までには、さしものカネあまりバブル高も失速しはじめよう。
おそらく、そこまでは持たないだろう。 むしろ、そろそろ突如として大崩れに入っていくのでは、そう思う。