インデックスファンド、万能ではないよ

Browse By

1972年の年末ぐらいに米国で、インデックスファンドの原型みたいなものが登場してきた。

われわれ運用の現場では、奇妙なものが出てきたなと語り合っていたものだ。

株式投資はもともと個別企業を調査分析して、将来可能性のある企業の株式を選別して投資するものである。

それなのに、上場企業の株式を全部まとめて買ってしまい、それでもって株式投資運用とするというのだ。

たしかに、20年30年といった時間軸でみると、株式市場全体つまり平均株価は10%前後で上昇している。

であれば、インデックスそのものへの投資でもって株式投資運用とすれば、もう十分ではないか。

個別株投資ではなく、平均株価を買うだけだから、企業リサーチも不要で運用コストは大幅に削減できる。

その論理でもって、1976年からヴァンガード500というインデックスファンドを立ち上げたのが、ジョンボーグル氏である。

当初は苦労したが、数年後から一気に預かり資産が増え始め、いまやバンガード社は700兆円を超す運用資産を預かるに至っている。

かくして、この45年間というもの、インデックスファンドは素晴らしい大成功を収めてきたわけだが、そろそろ警戒した方がいい。

警戒? そう、年金はじめ運用資産巨額化の流れに乗って世界の株式市場全般が、それこそ玉石混交で大きく買われてきた。

その結果、株式市場の重要な機能である優勝劣敗と適者生存による企業淘汰が、さほど進んでいない。

つまり、インデックスを構成する企業群の中身がそれほど良くないままの状況を、ずっと引っ張っているわけだ。

本来であれば、市場機能が働いて石ころがどんどん落っこちていくことで、インデックスの質も保たれるはず。

ところが、これだけのカネあまりバブルで株高が続いてきたから、インデックスファンドの中身というか質が相当に落ちている。

そのあたりの問題が、もうそう遠くない先で、カネあまりバブルが崩れるや、一気に噴き出よう。

おそらくだが、金融バブルに乗ってきた企業群の多くが、株価急落と長い低迷に追い込まれよう。

そうなのだ、世のインデックスファンドは玉石混交で買い上げてきただけに、ずっと足を引っ張られることになろう。

個別企業を厳選して投資しているアクティブ運用からみると、インデックスファンドは重い足かせをはめられたような成績低迷に苦しむことになろう。