芽生えてきたリスクマネー、どこまで肝が据わっているかな

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最近の事業再生ファンドやべンチャー育成ファンドなどの活躍には、目覚ましいものがある。

実績もずいぶんと上がってきた。 日本にもようやくリスクマネーが根付いてきたという声も高まっている。

その証拠に、ネット関連などの分野でポッと出の企業でも、ファンドなどの支援を受けて、どんどんIPO(株式公開)に漕ぎつけてきている。

最近の現象だけをみると、きわめて喜ばしい展開となっているといえよう。

銀行などからの融資が主体の間接金融でやってきた日本経済が、いよいよ直接金融への道を広げだしたかと考えると大歓迎である。

ただしだ、この現象に「もろ手を挙げて、いよいよ来たぞ」と楽観的にならない方がいい。

いずれ来る金融バブルの大崩壊で、ほとんどのプレーヤー達が吹き飛ばされて消えていくだろう。

どこまでが本物のリスクマネーなのか、真に肝の据わっている直接金融の担い手であるかは、そこで明白となる。

そもそも、この金融バブル自体が史上空前のカネあまりが為せる業である。

あり余っているマネーだが、バブル崩壊ともなれば跡形もなく蒸発してしまう類いのもの。

後には、巨額の評価損や不良債権が、今を時めくプレーヤー達に重くのしかかってくる。

その時になって、一体どれだけのプレーヤー達が敢然とリスクを取って資金を供給できるだろうか?

金融機関や機関投資家のほとんどは、バブル崩壊の対応に追われて右往左往するだけとなろう。

それどころか、巨額の投資損や評価損を食らって、なにがなんでもの現金化を急ぐことになる。

いまでこそ、カネあまりの余裕をかましているが、その時となれば手のひらを返したような戦線縮小に走るのが眼に見える。

今度来るのは、90年に入ってからの日本のバブル崩壊や、2008年のリーマンショックよりも、はるかに甚大な混乱の修羅場となろう。

金融マーケットのみならず世界経済全般で、すさまじい信用収縮に襲われるのは避けようがない。

おそらくだが、唯一残るであろう資金の出し手は、一部の個人投資家となる。 われわれの長期投資仲間だ。

そういった修羅場でニヤッと笑って投資できる個人マネーが、日本にどれだけ芽生えてきているのだろう?

ここが、ヨーロッパや米国との決定的な違いである。 ものすごいチャンスが到来しようとしているのを、彼らはきちんととらえて行動する。

そこで動けるか、縮こまってしまうかが、肝の据わった本物の投資家かどうかの試金石となる。