価値判断は、実体経済をベースに

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世界経済のあらゆる分野で価値判断のバブル化が進んでいる。 とりわけ、先進国ではそれが顕著になっている。

価値判断のバブル化? そう、世界の金融取引の規模は実体経済の20倍ほどに膨れ上がっている。

金融取引とはいっても、数字のやり取りが主体。 その中には、信用供与を含めバーチャル(仮想)な部分も入ってくる。

それが実体経済の20倍ほどの規模となってきているのだ。 オプション取引などを含めると、60倍ともいわれる。

だから、どこからどこまでが実需をベースとしたものかとなると、驚くほど小さいものになってしまう。

ところが、実体経済はもともとそれだけのもの。 金融なんて、その潤滑油あるいは血液にすぎない。

それが、いつの間にか金融が経済を動かしているかのような錯覚が世界を支配するようになった。

だから、諸々の価値判断がやたらと金融膨れしており、その実態をバブル化だといっているわけ。

そこへ、金融を緩和し資金さえ大量に供給すれば経済は成長するとする、マネタリズム信奉が輪をかけている。

つまり、先進国の中央銀行をも巻き込んだマネーの大量供給で、世界の金融バブルは空前の膨れ上がりを見せているのだ。

ここまでが、現状認識としていいだろう。 現に、すごい金融バブルが進行中なのだから。

ここからが、じっくりと考えたいところ。 所詮、バブルはバブル。 中身はあるようで、実際は何もない。

あるとしたら、せいぜい先進国による大量の資金供給だけだ。 そう、将来インフレの種は猛烈にまき散らしていることになる。

ともあれ、いつのバブルも必ず吹き飛ぶ時が来る。 これだけの金融バブルだ、その反動はすさまじいものを覚悟しよう。

となると、一刻も早く実体経済をベースとした価値判断に照準を合わした経営なり投資に、シフトしておくべしであろう。

ここは、あらゆるバブル部分をそぎ落とし、経営規模や投資ポートフォリオの縮小も敢えて断行だ。

どうせバブルが吹き飛んだら消えてなくなる、バーチャルな価値だ。 そんなもの、売れる時に売っておくに限る。

バブル部分をできるだけ削ぎ落しておけば、いざバブルが吹き飛んでも痛手は少ない。

今のうちから、身軽になっておけばバブル崩壊後に、すぐさま次の手を打てる。

バブル崩壊でのたうちまわる大半の企業や投資家と、われわれとの差は決定的となろう。

それが、実体経済をベースとした価値判断である。