異常なる金融緩和と、前代未聞といわれる規模とスピードの財政出動で、あり余ったマネーが世界の金融マーケットでバブル買いをしている。
その象徴が、マイナス金利国債に17兆ドルもの巨額資金が買い群がっていることだろう。
国債は最も安全な投資対象となっている。 発行体が国で、国は徴税権と印刷権を持っている。
つまり、国は税金を徴収することで資金はいくらでも集められる。それでも足らなければ、紙幣をどんどん刷ればいい。
だから、国債の満期返済はもちろん、毎年の利払い費も万全であるということだ。
ところが、マイナス金利の国債を購入するということは、満期まで保有しても絶対にプラスとならない投資を意味する。
そんな損するだけの国債を買うなんて、普通では考えられない。 機関投資家も運用責任を果たせっこない。
ところが、マイナス金利国債を買っている人たちは、誰かが後から買ってくるから、そこで売り抜ければいいと高をくくっているわけだ。
まるで、トランプのババ抜きをやっているようなもの。 自分だけは最後のババをつかまないぞと、そう言い聞かせながら。
リスク感覚は、もう放ったらかしで国債を買っているわけだ。
同じことが、銀行などの金融機関による金融商品の買い群がりでみられる。
少しでも利回りを稼げるならで、ありとあらゆる金融商品に飛びついている。
リーマンショックではじけ飛んだ世界的な金融バブルでも、同じことをやっていた。
証券化商品などを投資銀行や証券会社に進められるがままに買いまくったわけだ。
バブルがはじけ飛ぶや、売るに売れない金融商品を抱えて、真っ青になった。
いま、多くの金融機関がまたぞろ新たに開発された金融消費を買いまくっている。
これだけの運用難だから、とにかく利回りを稼ぎたい。 その思いだけで、リスク感覚など放ったらかしでだ。
このまま世界的な金あまりが2年3年と続いてくれたらありがたいということなんだろう。
なんとも危ない橋を渡っているものだ。 なにかの加減で、金融バブルが崩れ出したら、もう一巻の終わりである。
今日は金融機関の運用難を取り上げたが、状況は機関投資家も同じである。
皆がリスク感覚を放り出して、マーケットの流れにのめり込む。 典型的なバブル症状といっておこう。