金利のない世界

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日本は1995年の9月から、超低金利そしてゼロ金利の世界に踏み込んでいった。

世界というか先進国は2008年の9月に発生したリーマンショックを受けて、ゼロ金利政策を採用した。

どちらも、バブル崩壊で企業や大手金融機関が巨額の評価損や不良債権を抱えてしまった。

放置しておくと、経済活動はマヒし金融収縮を招く。 それが大量の失業につながっていく。

したがって、「大きすぎて、潰せない」という論理でもって、ゼロ金利政策やものすごい金融緩和を実施してきた。

そこへ、コロナ感染騒ぎで世界経済は大恐慌時を上回るほどひどいマイナス成長に叩き落された。

これはマズイということで、各国政府や中央銀行は前代未聞の財政出動と、大量の資金供給に走った。

そして、米国の中央銀行にあたるFRBは当分の間、ゼロ金利政策は続けるといっている。

そういった環境下、マイナス金利の国債が1800兆円前後も、世界で流通しているのだ。

満期まで保有したところで、絶対にプラスとならない国債保有額が日本のGDPの3.3倍にも達しているのだ。

いくらゼロ金利だといっても、マイナス金利の国債を買おうとする投資家が世界でゴロゴロしている。

こんなおかしな状況が続けば続くほど、人々はゼロ金利に鈍感になっていくのだろう。

これは、きわめて危険な方向である。 そもそも、金利がなくて経済が動くわけがない。

金利は経済活動の引き金であって、それをゼロに抑え込んでしまうなんて、経済を憤死させるようなもの。

早い話、金利ゼロで資金はいくらでも借りられるとなれば、企業経営はどんどん弛緩してしまう。

そんな状況下では、事業家のアニマルスピリットつまり事業家精神が高揚するはずもない。

日本も世界も経済全体はどんどん柔になっていくのだろう。 そんな中、一部の活力旺盛な人間に富は集中していくのだ。

それだけでは終わらない。 ものごとには、必ず反動というものがある。 ゼロ金利の反動、すなわち金利高騰だ。

これだけ世界中が資金をバラ撒いているのだから、お金の価値は間違いなく下がり続けているはず。

ということは、ある程度の金利をつけないと、誰も受け取ってくれない状況は、もう目の前に来ているわけだ。

そう、どこかで金利は上がり始める。 これだけ滅茶苦茶にお金をバラ撒いてきたのだ、それを受けて急激に金利は上がっていく。

これが、ゼロ金利の反動である。 そうなのだ、もうインフレは始まっているのだ。