豊かにお金をつかう

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土曜日と日曜日の「オペラを100倍楽しもう」コンサートでも、こんな風にあいさつした。

ひたすら豊かな生活を求めて、次から次へとモノを買いそろえていった時代は、1980年代で一区切りとなった。

それまでは、人々がどんどんお金をつかった。 それが、日本経済の高度成長につながっていった。

それから30年というもの、日本経済はまったくの低迷と停滞状況に喘いでいる。 耐久財の消費がさっぱり伸びないからだ。

テレビやエアコンなどの耐久財で欲しかったものはほとんど手に入り、買い替え需要が中心となってきた。

7年とか10年に一度の買い替え需要が中心となると、工場設備は余ってくるので企業の投資意欲も減退する。

となると、経済は伸びようがない。 そう、人々がお金をつかわなくなると、経済の伸びは鈍らざるを得ない。

もちろん、日々の生活消費は相変わらず続いている。 しかし、耐久消費財中心の消費がガクーンと落ち込んでしまったのが痛い。

だからといって、アベノミクスなどで国がどれだけ頑張ったところで、さっぱり効果は上がらない。

これは、成熟経済の落とし穴といっていい。 モノへの消費が落ち込み、人々はお金を抱え込んでしまうから、経済は低迷する。

どうしたら良いのか? お金をつかえばいい。 モノなどの豊かさが達成されたなら、次はモノでない方向で豊かさを求めるのだ。

より心豊かに生きていくには、どうしたら良いのか。 そちらの方向で、お金をどんどんつかっていくのだ。

経済活動は、すべてお金をつかうことから始まる。 人々がどんどんお金をつかえば、そちらの方向で新しい産業が生まれてくる。

モノが満たされたのなら、今度は心の贅沢や気持ちの満足にお金をつかうのだ。 芸術、スポーツ、技術、教育、ボランティア等々。

さすれば、広い意味での文化関連で次から次へと新しい産業が生まれてくる。 それが、成熟経済の活性化である。

そういった方向で、積極的にお金をつかうことが重要である。 その中には、寄付を通してというのも、もちろん入ってくる。

個人や家計が預貯金で抱え込んでいる906兆円の3%でも、心の豊かさを求める方向でつかわれたなら、すごいことになる。

日本経済は瞬時に5%成長の軌道に乗るし、まわりまわって国民全体の所得も増えてくれる。 すべてが、プラスの展開となる。

そして、文化や教育・芸術・スポーツ・技術を中心として、27兆円もの規模の新しい産業が生まれるのだ。

先ずは、わかった人から動き出そう。 そのためには、オペラにしてもなんにしても、お金をつかって満足感をたっぷり味わうことだ。