日銀の財務肥大化が進んでいる。 進んでいるどころか、異常な水準にまで行ってしまっている。
普通、中央銀行の財務(総資産)は経済規模にあたるGDP(国内総生産)の10~20%水準にある。
それが、いまや日銀は日本経済に対し、120%の規模にまで財務を膨らませてしまっているのだ。
黒田総裁になって以降、国債は総発行額の47%前後、株式ETFは37兆円も買い込んできた。
その結果として、日銀は日本経済の1.2倍という異常に大きな財務を抱え込むことになったわけだ。
さてさて、この先で日銀は保有している国債や株式ETFを、どう処理して財務の健全化を図るのだろう?
国債の場合は、満期が来れば国が償還してくれるから、それまで持ち続けておればいい?
残念ながら、そうはいきそうにない。 国が既発国債を満期償還するにしても、償還資金をどうするのか?
国の財政状況をみるに、新たなる国債を発行して資金を調達し、それでもって満期償還を賄うことになる。
その新たなる国債発行だが、誰が買うのか? こんなゼロ金利の状況下で、日銀を置いて投資家は他にいない。
となると、日銀の国債保有残高は一向に減らないということになる。 むしろ、増加していく懸念が強い。
一方、日銀は間もなく公的年金を抜いて日本最大の株主に躍り出ようとしている。
これまで、日銀は国の景気回復政策に協力すべく、株価引き上げをもくろんで株式ETFを買い上げてきた。
保有額の巨大さからしても、個別株ならともかく、上場株式をパッケージにした株式ETFともなると、もう売却しようがない。
ちょっとでも、日銀が保有している株式ETFを売るなんて言い出した瞬間、株式市場は大暴落を免れない。
そうなると、国の財政状況からみても国債の保有残高は減りそうにないし、株式ETFは売りようがない。
さあ、日銀はどうするのだろう?