株式投資の基本は、企業の利益成長力を買うことである。 企業が利益を高めていってくれれば、それだけ投資価値が高まる。
もちろん、より多くの配当も期待できる。 それらが相まって、株価は上がるだろうという読みができる。
読みどころか、長い時間軸でみると、株価は企業の利益成長にスライドして上がっていっているのは歴史が証明するところ。
さて、ここからがきちんと頭を整理しておきたいところとなる。 企業の利益成長を追いかけるのはいいとして、その落とし穴に注意が必要である。
落とし穴? 企業に利益成長ばかりを求めていると、経済を薄っぺらなものにし、長い目では社会にマイナスとなるのだ。
最近の株主第一主義がそうだが、「利益さえ最大化すれば、なにをやってもいい」が、企業経営を短期の利益志向に追い込んでいる。
株主圧力もあって、儲からない部分は切り捨てさせたり、長期の研究開発投資などをやめさせたりで、企業を切り刻んで平気といった風潮が横行している。
それで喜ぶのは、株主つまり投資家である。 しかし、経済や社会の健全なる発展にどれだけプラスとなるかは、大いに疑問である。
昨今のマネー至上主義がもたらしている、富の偏在化や中間層の没落ならびに低所得層化現象が、それを象徴している。
その点、企業がどれだけ付加価値を高めていくかをもって投資とすれば、経済や社会の健全なる発展に直結してくる。
付加価値? その企業が、人件費・減価償却費・研究開発費・賃借料・支払利子・税金をどれだけ計上したか。
その上で、そこそこの利益を出しているか。 これらの総額が付加価値であり、それをいかに高めていっているかを投資の基準とするのだ。
つまり、しっかり雇用を確保し、将来に向けて積極的に投資し、それなりの賃借料や利子を支払い、税金も納めていく。
それだけ社会に富をもたらして、なお利益を計上している。 そういった企業こそが、われわれ長期投資家にとっての応援企業となる。